れんれん

リトル・ダンサーのれんれんのレビュー・感想・評価

リトル・ダンサー(2000年製作の映画)
3.8
炭鉱の町の貧困家庭の男の子が、たまたま体育館の同じフロアで練習することになったバレエのレッスンを見て、女性指導者との交流もあり、なんとなくハマり、バレエ学校の受験を夢見るが、労働争議でスト中で、することもない父親の反対を受けるが、それでもあきらめず……。

と書けるほど筋はいたってシンプルなのだが、淡々とした日常のなかに、彼が踊る姿が、嫌味なく挟まり、視聴者を引き込んでいく。

バレエ学校の受験で、バレエに魅せられたきっかけなどを聞かれ、主人公の少年は「さあ」と答える。好きなことに、好きになってしまったことに、理由など考えられない少年の心に打たれるし、妻も仕事もなくし心を閉ざしていた父親が、11歳の子どもの未来を守らなくてはと翻意するシーンも素敵だ。

過剰な演出を避けることで、ちょっと背伸びした少年少女のセリフ回しや、イギリスの田舎の陰鬱さの中で見せる、大人たちのぶっきらぼうさや、素朴な気遣いが、活きている。良作。
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