ねまる

リトル・ダンサーのねまるのレビュー・感想・評価

リトル・ダンサー(2000年製作の映画)
4.7
1980年代、イギリス北部。
男たちはみな炭鉱夫として働き、彼らがストライキを起こしていた頃。
狭き社会に生まれた少年はバレエダンサーを目指した。

80年代のPOPな音楽から始まるオープニングは、はじまりからワクワクさせ、
音楽に合わせて、体を動かすビリーにとって踊ることが感情表現で、心から踊りが好きなんだという気持ちを感じさせる。

11歳のビリーの、とにかく好きなんだというその純粋で真っ直ぐな気持ちを、観ているだけで愛おしく、
バレースクールの先生と同じように私たちもビリーを応援してゆく。

でも、男はみんな炭鉱夫になり、バレエは女がするもののこの時代、
勝てないと分かっているのに続けているストライキ、
性的少数者であることを自覚しつつあるビリーの友達。
ビリーのいた社会は狭かった。

ビリーの好きの前に立ちはだかるいくつもの壁は、ビリーを狭い社会へと閉じ込めようとする。

それでも、
好きなことをやめないビリーに、
才能を信じてあげ続ける先生に、
人とは違うことを認め合える友達に、
ビリーの気持ちを受け止めたお父さんに、

私は涙が止まらない。

"好き"は何にも変えられない力になるし、
誰かの夢は自分の夢になる。

1シーンも無駄なシーンが無く紡がれ、
印象的なショットと、
バレエらしくない音楽のチョイスは
温かな人間たちの物語を豊かにする。

完璧でした。
ねまる

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