1980年代、イギリス北部。
男たちはみな炭鉱夫として働き、彼らがストライキを起こしていた頃。
狭き社会に生まれた少年はバレエダンサーを目指した。
80年代のPOPな音楽から始まるオープニングは、はじまりからワクワクさせ、
音楽に合わせて、体を動かすビリーにとって踊ることが感情表現で、心から踊りが好きなんだという気持ちを感じさせる。
11歳のビリーの、とにかく好きなんだというその純粋で真っ直ぐな気持ちを、観ているだけで愛おしく、
バレースクールの先生と同じように私たちもビリーを応援してゆく。
でも、男はみんな炭鉱夫になり、バレエは女がするもののこの時代、
勝てないと分かっているのに続けているストライキ、
性的少数者であることを自覚しつつあるビリーの友達。
ビリーのいた社会は狭かった。
ビリーの好きの前に立ちはだかるいくつもの壁は、ビリーを狭い社会へと閉じ込めようとする。
それでも、
好きなことをやめないビリーに、
才能を信じてあげ続ける先生に、
人とは違うことを認め合える友達に、
ビリーの気持ちを受け止めたお父さんに、
私は涙が止まらない。
"好き"は何にも変えられない力になるし、
誰かの夢は自分の夢になる。
1シーンも無駄なシーンが無く紡がれ、
印象的なショットと、
バレエらしくない音楽のチョイスは
温かな人間たちの物語を豊かにする。
完璧でした。