セリフのほとんどない映画で、人々の営みを通して時代の空気を切り取っている。原題『Suite Habana』のとおり、さまざまな年代、生きかたの13人の暮らしぶりが昼夜の時間帯ごとに次々と映され、そのありようが抒情的にまとめられる。
映像、環境音、音楽の織りなしかたが秀逸で、キューバの名曲もたくさん聞ける。
何気ない生活の端々から、彼らの当時の感覚や感情を追体験した気がするけれど、この映画は本国でもヒットしたようで、現地の実感が多く含まれていたのだろう。あれから18年経って、彼らはどのように暮らしているのか、あるいは亡くなったのか、思いをはせる。