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5時から7時までのクレオのameoのネタバレレビュー・内容・結末

5時から7時までのクレオ(1961年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

1961年6月21日初夏のパリ午後5時、駆け出しの歌手クレオの人生を左右する90分の出来事と、当時の世相が交錯するような映画。最初のタロット占いの店がある1区リヴォリ通りから、最後の13区サルペトリエール病院まで、実際に90分で行ける範囲でのロケ撮影のため、当時の街並みが垣間見れて臨場感があった。

途中、タクシーのラジオのニュースではアルジェリア戦争(Blu-rayでは日本語字幕が省略されていたけれど他に、反政府勢力の逮捕、ウィーン会談とジョン・F・ケネディ、エディット・ピアフの近況などが流れていたみたい)、奇妙なお面や大道芸人の奇怪な芸、事件現場の割れた窓ガラスなど、しだいに不穏さが漂いクレオの不安や孤独が深まる演出もよいし、打ち合わせで歌う「Sans toi」は儚い名曲。

車が去るのに合わせてぐーっとカメラが退いた後、決然とも諦念とも何ともいえない表情の二人が見つめ合い、ぱっと映画が終わった瞬間、「ああ…いい映画だった」としんみりしました。
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