KOUSAKA

人でなしの恋のKOUSAKAのネタバレレビュー・内容・結末

人でなしの恋(1995年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

国立映画アーカイブの企画上映『1990年代日本映画――躍動する個の時代』にて鑑賞。

松浦雅子監督が、同じ女性の京子目線から描くことで、男性監督では達する事の出来ないような高みに達していると思います。女中のかよも含めた3人(?)の女性によるトライアングルは、あの大傑作『燃ゆる女の肖像』を想起させました。

まずは、羽田美智子演じる京子の美しさに尽きる‼️特に前半の、幸せを深く噛み締めているような表情の美しさと言ったら‼️😵これだけでもこの作品を見る価値があります。

でも、この神々しいほどの多幸感が前半に配置されているからこそ、中盤以降の狂気的な展開とのギャップに、観る側はどんどん魅せられていくわけですが🤔

阿部寛演じる門野の明らかに怪しい動きに、京子の表情に一気に翳りがさしてきて、不信感、不安、懐疑など、あらゆるネガティブな心情が京子の表情に塗り加えられていきます。

この作品の深いところは、一見、阿部寛の狂気性や変態性にフォーカスが当てられがちだと思いますが、実は本当の「狂気」は、もしかしたら京子側にあったかもしれないという点です。むしろ門野は、京子の狂気によって「朽ち果てた」とも言える気がします。

文字通り「狂気の愛」同士のぶつかり合いによって、男は命果て、女は生き続けたというところに、人間の本質が表現されているというか、男にとっては抗いようもない「女という生き物の強さ」を感じました。男って弱いな~、女って強いな~みたいな😵

江戸川乱歩の原作を読んでみたいと思いましたし、1993年当時に同日公開されたという『RAMPO』も見てみたいと思いました。
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