KOUSAKA

FEAST -狂宴-のKOUSAKAのネタバレレビュー・内容・結末

FEAST -狂宴-(2022年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

『ローサは密告された』が大好きだったので、今作も楽しみにしていましたが、見事にやってくれました!

これはみんなの解釈が分かれるような非常に挑戦的な作品で、結構ポカンとさせられる展開が続くので、ずっとはぐらかされているような気持ちで見ていたんですが、最後の最後に「命は食物にまさる、からだは着物にまさる」という、聖書(マタイによる福音書6章25節でしたっけ?)から引用されたこの言葉を見て、自分的にはなるほど!と合点が行きました。

つまり聖書に書かれている「生き方の指針を示す」ような清廉潔白な言葉など誰も気にしていない、そんな人間という生き物の滑稽さや罪深さをたっぷり見せつけられた105分だったんだと。

逆にいうと、宗教(キリスト教)なるものがいかに無意味なものであるかを強烈に皮肉ってるとも言えます。

あらすじを事前に読んだ段階では、アルフォンソは事故で即死なのかと思っていたんですが、実際は即死ではなく、生命維持装置を奥さん(ニータ)が了承して外してしまいます。医療費を払い切れない貧困ゆえの悲劇でもあり、「食物(お金)」と「命」を天秤にかけて、「食物(お金)」を取るという、聖書の教えとは真逆の行動を取ります。

聖書や宗教なんて何の助けにもならないし、愚かな人間という生き物には何の役にも立たない。

どうしようもなく世知辛く絶望的な世の中に対して、全方位的に「皮肉」という礫をぶち撒けているような(映画全体が醸し出す暖かいヒューマンドラマのようなルックとは完全に真逆の)ある種アナーキーで暴力的な作品。すごい😵
KOUSAKA

KOUSAKA