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月に囚われた男のNAOKIのレビュー・感想・評価

月に囚われた男(2009年製作の映画)
3.7
「レイコさん、夏目漱石ご存じですか?」
「我輩は猫であるの作者?」
「そうです!その夏目漱石が明治の時代に海外の小説を翻訳していたんです」
「まあ、才人でしたのね」
「ところが西洋の小説に頻繁に出てくる『I LOVE YOU』をどう訳すか…漱石は悩んだんですね」
「愛しています…じゃダメなの?」
「明治の男は絶対に愛してるとか言わないと…そこで漱石はアイラブユーをこう訳したんです…『今夜は月が綺麗ですね』と」
「まぁ!なんてロマンチック」
「でしょう?僕の大好きな話なんですよ」

昔から月が好きだ…
地球はもし月を持たなかったら人類は発生していなかったらしい…自転や磁極が安定しているのは月のお陰で…月の重力が起こす潮の干満が生命を生んだと言う。
私たちが月を見上げてなにかしら不思議な気持ちに満たされるのはそういう理由かも知れない。

「月に囚われた男」
大変に低予算で地味な映画ではあるけども…そのアイデア溢れるストーリーとサム・ロックウェルの好演が光る味わい深いSFになっていると思いました。

全体を包むムードが良い。

しかしそれ以上に驚いたのが監督のダンカン・ジョーンズ…このあと「ミッション:8ミニッツ」を作り腕が確かなところを見せてくれます。
そして名前も容姿も全然違いますが…彼はあのデヴィッド・ボウイの息子なのです。
音楽にはまったく興味がないらしいですがやはり才能を継いでいるのかも知れませんね。

「レイコさん…それにしても今夜の月…綺麗ですね」

「そうですか?赤くてでっかくてなんか気持ち悪い…不吉な月にしか見えませんよ」

「おい!」
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