焙煎マン

着信アリの焙煎マンのネタバレレビュー・内容・結末

着信アリ(2004年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

身近にある携帯をキーアイテムにした良作かと思います
もっとも今はスマホなので全体的に古臭さが拭えず…ちょっと懐かしい気持ちになったりします

個人的にもっとも良いと思ったシーンは頑張って携帯を使って怖がらせようとしていたところでしょうか
特に廃病院での知ってる人の着信音は聞こえども、姿が見えず右往左往してしまうシーンの不安感を煽る演出はゾクゾクしますね
確実に会ったら安心できる人が近くにいるはずなのに姿が見えず。何か良く分からんけど胎児を差し入れしてくる謎の手や呪怨みたく髪の毛を天井から垂らす女等
安心できるはずなのに安心できないという宙ぶらりんな状況が更に不安を煽ります。気持ち的にはそろそろ終わりだよ!と言われているのに終わらないみたいな

ただ、不満点ももちろんあり主人公の友達がTV局に目を付けられ除霊の名目でTV企画に生出演しますが、その際主人公(以下、由美)はこれを絶対拒否するんです
別に霊媒師やら霊感が強いという設定があるわけでも無い由美がTV局の除霊を信用出来ない!TV出演はおかしい!と頑なに拒否する理由が良く分からんでした
倫理的に怖がってる人をTVに映して視聴率稼ごうとするTV局の人間を悪役に仕立て上げたかったのは分かるが、本当かどうかはともかく除霊をしてくれる上に死ぬかもしれない状況で沢山の人が見てくれているのは逆に安心なのではないだろうかと思ってしまう。

結果的にはダメだったわけですが、それは結果論なので…それに友達のなつみにも由美にどうにか出来るのか?と聞かれて返答に詰まってたし

面白かったのは、呪いの原因だった幽霊の身勝手さですかねー
ホラーの幽霊って実は可哀そうな奴だったりするんですが、本作は生前がドのつくほどのクズで妹を虐待していたせいで、母親に見殺しにされてしまったという残念でもないし当然としか言いようのない奴だったりします。
怖さの中に儚さや、こうして死んでしまったんだ…可哀そうにね…という要素を持たせることで幽霊本人を見たときに何とも言えない複雑な同情心とでも殺さないでくれ…!という加害者である幽霊側に同情しながらも、恐れ戦くというどっちつかずの不安定な気持ちを抱えてしまう
このなんとも言えない感情って不安な感情と似てる気がします。どう思えば分からないってことですし

ただ、幽霊がクズだと嫌だと思う人間が襲ってくるってことだからそれはそれで普通に怖いんですよ
なんでこんな奴に良いようにされなきゃならんのじゃ!という理不尽さが嫌だ!という嫌悪感を煽り立て気持ちの悪いドス黒い気分を抱えたくなります
ですから最初は美々子クズすぎじゃん…これはアカン!って思ったんですよ。今まで実は可哀そうな幽霊ばっかり見て来たものですから
でも見ていくうちに、自業自得の癖に何で好き勝手してるんだ!というジレンマがホラー映画特有の後味の悪さを駆り立てていて、こういう幽霊もありっちゃありだなぁ…と思いました
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