OASIS

RAINのOASISのレビュー・感想・評価

RAIN(2000年製作の映画)
3.7
幼い頃から聴覚障害を患い、タイの裏社会で殺し屋として生きる青年を描いたドラマ。

ターゲットを始末する為トイレに現れた殺し屋が引き金を引き、流れ出る血に合わせてスタッフロールが重なるオープニングはかなり格好良い。
耳が聞こえず話す事も出来ない主人公が見る世界を再現するように、霞がかった人の声や目の前で大袈裟なジェスチャーをする人をPOVで写したりと演出も凝ってます。

頼まれた仕事を淡々とこなす主人公には全く台詞が無くて、それがターゲットを確実に仕留める為狙いを定めていくジリジリとした緊迫感を生み出しているし、BGMや音楽が非常に良い仕事をしている。
電車内で列が一直線に並んだ所を撃ち抜くシーンは痺れた。

全体的に青みがかった映像もスタイリッシュで爽やかだし、主人公の過去が垣間見える回想や、復讐の為殴り込みに行くシーンでは隣に連れ添うように浮かぶ霊体の相棒など、挿入されるモノクロの映像が青色の中で鮮烈な印象を残すし、そのギャップが映える。

恋に落ちた薬屋の店員との、微妙に縮まらない距離やコミュニケーションの噛み合わなさが焦れったくてもあり切なくもあり、彼女との出会いによって今迄の自身の行いを悔い改めようとする主人公の決断には嘆息をもらしてしまった。

後で知ったが、この映画をオキサイド&ダニー・パン監督がセルフ・リメイクした作品がニコラス・ケイジ主演の「バンコック・デンジャラス」なんだとか。
まだそちらは未見だが、こちらの主人公の風貌とは似ても似つかない感じなので観るのが少し心配である。
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