久しぶりの再鑑賞。Brazil:テリー・ギリアム監督、ジョナサン・プライス主演、1985年アメリカ、イギリス作品。仮想の国でコンピュータによる徹底した国民管理社会を描いたSFの名作。
冒頭からラストまで全く隙の無い狂気とブラックユーモアに振り切った作品で、テリー・ギリアム監督の才能が炸裂している。シュールで幻想と現実の区別がつきにくい世界観は圧倒的で、ストーリーを追わずに映像だけを眺めているだけでも、けっこう楽しいかも知れない。楽しいと言っても笑えないしダーク一辺倒なので、初めて観た時は気分が悪くなり嫌いだった記憶がある。
今観ると随分とその後のSF作品に影響を与えているし、狂気の表現にも影響を与えているであろう優れた映像センスに世界観。ただ内容が皮肉が効き過ぎていて、イカレたイメージばかりが先行していて・・・。ブレードランナーまで行かなくても、もう少し注目されてSFの中で名作扱いされてもいい作品だと思う。
しかし例えばキューブリックの「時計仕掛けのオレンジ」のように皮肉とブラックユーモアのキツイ内容に関わらず、優れた美術や衣装やインテリアによって、お洒落映画と捉えられるような事は無いだろうなと思う。
観終わるといつも疲れる。ドサリと・・・。観応えは凄くあるのだけどな(笑)結局はテリー・ギリアム作品で1番好きな気がする(笑)