とみやま

ミツバチのささやきのとみやまのネタバレレビュー・内容・結末

ミツバチのささやき(1973年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

TSUTAYAにもサブスクにもなかなかないので、「助かるぅ〜」とか思いながら見に行った。

ほとんど物語を知らないまま見に行った。物語の中盤までわかりやすいストーリーが展開されない。フランケンシュタインの上映(すごく良い場面!劇中、映画館で登場人物がスクリーンを見つめる姿が出てくる映画が好きなのかもしれない)とか、学校の授業のシーンとか、前半までは日常風景が淡々と描かれるので、この映画はどこに向かうんだろう、と思っていた。

イサベルが死んだふりをする場面から、一気にドラマが進む感触がした。それまでは、アナが見ていた世界はイノセントで豊かだったけれど、村から一歩出たりする過程で、残酷な世界が垣間見えてしまう。世界は豊かさだけで出来てはいなかった。
イサベルがアナをからかうために長尺で丹念な死んだふりをするシーンで、アナが、図らずも、今まで触ることのなかった「何か」を手に触れてしまった気がした。死や怖さとかが混ざりあった何か。そして、それまでの生活なら触れないでいられた何か。そんなふうに思う。
この一連の場面で印象深かったのはアナの目だった。大きな瞳で、時折黒々と光の映らない目があらわれる。アナの考えていることが掴めなくて、どこか不穏な眼差し。

あと、ロウソクや日向の温かくてやわらかい光と影がはっきりしているシーンがとても綺麗。アナとイサベルが時折するコソコソ声の音質?もよかった。
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