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自虐の詩のTRBのレビュー・感想・評価

自虐の詩(2007年製作の映画)
3.8
堤幸彦らしい緩急のついた不幸イジり

トリックもそうだけど、個人的に監督との相性がイイ


幸せを追い求めるユキエ

狭いアパートでイサオと暮らしているが

仕事をせず、金をせびるイサオ

気に入らないことがあるとちゃぶ台をひっくり返す

そんなイサオを慕う健気なユキエ

彼女が追い求める幸せとは


阿部寛のパンチが効いてる

あの目ヂカラで迫られたら素直に言うこと聞いてしまう

不幸自慢の役柄を中谷美紀がコミカルに演じているので、子供の時からさえない人生もクスっとさせてくれる

こういう役どころが上手い

というか綺麗で好き

前半で連発するちゃぶ台返しがかなり芸術的

オリンピック競技にすりゃーええんじゃねぇかってぐらい鮮やかな返しとバリエーションで笑える

登場人物がみんなクセが強い

捨てた母への独白のような感じで、幼少期からの不幸な暮らしを描いていくが、要所に笑いが差し込まれていてさほど重くならない

徐々にユキエが考える幸せにスポットが当たってシリアスになっていき

仕舞いには泣かされた

熊本さん役のアジャコングがどハマり

やっぱり子供って人生を覆すような大きな存在

前だったらなんとも思わなかったかもしれないけど、今はその決断で号泣してしまう

何やらコミックが原作のようだ
読んでみたい

なんとなく観たけど思ってたより良かった

幸せの尺度はそれぞれだけど、一般的に言われる幸せよりは深みのある真理を描いた作品。

幸や不幸はもういい
どちらにも等しく価値がある
人生は明らかに意味がある

この言葉がモノスゴク気に入った

お金はあった方がいいけど、多く持っていれば幸せというワケでもない

昨今の承認欲求の為の映え文化にはついていけない

誰に対してどう思われたいねん

あなた凄いですねって羨ましいですねって言って欲しいのか

そういう価値観の人とは合わない

てめぇの中に幸せを見いだせないから他者に押し付けて納得しようとしている様にしか思えない

憐れな世の中になっちまったもんだ
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