TRB

ジャッカルの日のTRBのレビュー・感想・評価

ジャッカルの日(1973年製作の映画)
4.0
必殺仕事人のような殺し屋

大統領暗殺を請け負ったプロの殺し屋と、それを阻止すべく奮闘するパリのルベル警視の息詰まる追跡劇

ストーリー展開に抑揚はないが、妙な緊迫感に包まれ圧倒される

リメイクとは全く違う、燻銀な職人気質を感じる

とても面白い


アルジェリア戦争終結に端を発した大統領暗殺計画

秘密軍事組織OASはプロの殺し屋『ジャッカル』に暗殺を依頼する

不穏な動きを感じ取ったフランス官憲は、謎の暗殺者を雇ったことを知る

追跡を開始するが、次々と身元を変え捜査を交わしつつXデーに向かうジャッカル

後を追うルベル警視、決行の日までに彼を止める事が出来るのか


淡々と暗殺準備を進めるジャッカル役のエドワード・フォックスがセクシー

デビッド・ボウイのような中世的な微笑みで近づき、氷のような眼差しで仕留めにかかる

職人という言葉がしっくりくる暗殺者

そしてセクシー

追いかけるルベル警視役にマイケル・ロンズデール

一見ぼんやりしてる

ジャッカルに辿り着きそうでつかないが、ラストの緊迫感と立ち去る姿に哀愁が漂う良いキャラクターだった

リメイクの『ジャッカル』しか知らず、今回初めて観たけど、かなり面白かった

要所での武器調達や偽造パスポートの製作、車の塗装変えなど、リメイクとは違った怖さがありヨイ

全体的に冷徹な暗殺者の犯行を全面に押し出しているので、ストーリー展開自体は非常に淡々としており、粛々と作業するジャッカルをメインに見せている

その為、紳士的に振る舞う姿と冷徹な殺し屋の温度差がよく出ており、結果、冷血な殺し屋像が脳裏に刷り込まれるイイ流れを作っていた

まさかあんなホセー銃を拵えてくるなんて

ちょっと欲しいです

あんなバレルと、そんな口径の弾であんなに炸裂するもんなのか
不思議がいっぱい

顔色を変えるのに火薬を飲むなんて、考えただけでゾッとする

追ってる側のルベル警視以外が割とザル

ジャッカルのコードネームから名前を割り出し、パスポート申請者と過去の死亡履歴から特定人物を割り出す

この辺から徐々に熱量が上がってきている

今なら検索すればすぐの作業でも、何千人分を手作業で行うこの時代、なんて労力の使う仕事

まさに人海戦術とはこの事だと独りごちる

この手の映画観ると思うけど、死んだ人なり病床にいる人なりの身分証を手に入れて生活ってできる者なのかね〜

案外簡単に出来るとしたら、隣にいる人の身元は確かなのか

とか考えてしまい怖くなる

だから考えてはいけない

時代の流れといえばそうだけど、現在はCGなど含め演出が過度にド派手な作品が増えているが、そうではなくあくまで演出と役者の技量で魅せているのが古い作品のイイトコロ

余計な効果が無い分、キャラクター性を楽しむことが出来る作品。

どこか洗練されていてセクシーさを感じる

ブルース・ウィリスも良かったけど、『ジャッカル』として甲乙つけ難い

『暗殺者』スタローンも好き

ラストの墓地でシーンが怖い
ジャッカルってじゃあ…

その後、立ち去るルベルの後ろ姿

この小細工なしなラストが好き

哀愁をそそる
TRB

TRB