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エクソシストのinazumaのレビュー・感想・評価

エクソシスト(1973年製作の映画)
4.0
「悪魔はウソつきだ。我々を混乱させ、そのウソに真実を混ぜて、我々を攻めるのだ」

ホラー映画の金字塔ですが、本編よりも、この映画の存在そのものが怖い。
本作を取り巻く数々の事件やウワサ話がまさに恐怖そのもの。昔からテレビや映画評論などでもよく取り上げられていて、どこまでがウソでどこまでが真実なのか分からないところも含めてとにかく怖かった。マイケル・テイラーの事件が有名ですが本当にエグくておぞましい。本作に影響を受けて発生した凄惨な事件がいくつもあると聴きます。
映画の醍醐味は、絶対に起こって欲しくない物事を安全圏から眺められるというところ。それを見事に覆した本作は、劇中メリン神父が言うように、現実にウソを混ぜ込んできてるという意味でも悪魔みたいな映画です。

…なんてこと言ってますが、本編も十分に怖い!久しぶりに鑑賞しましたが、記憶から抜け落ちていた部分がいくつかありました。中でも、デミアンが見る母の悪夢には結構ゾッとさせられた。真っ昼間の人通りが多い街にて、こちらに背を向け地下鉄(?)の階段を降りていく母の姿と一瞬映る悪魔と思われる者の顔…白昼夢的な映像で映される静かな死の暗示が恐怖を駆り立てます。
あと、思いっきり日本語(ローマ字)で書かれた「TASUKETE!」の文字が出てきたときは思わず笑ってしまった。このシーンの直後にリーガンの腹に「help me」の文字が浮かび上がります。この映画が大ヒットし、国境を越えて全世界を恐怖のドン底に陥れることを暗示しているように思いました。

本シリーズはこの1しか見ておらず、続編がとても気になるので今年なんとか鑑賞したいです。黒沢清の『CURE』に影響を与えたという3が特に気になる…
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