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スパイダーマン3のdm10foreverのレビュー・感想・評価

スパイダーマン3(2007年製作の映画)
3.9
【欲望】

「ヴェノム」公開直前という事で、復習の意味もこめて再鑑賞。1、2は時間の都合で割愛です(何度も観てるしね)。

最新版の「ヴェノム」のヴィジュアルイメージや寄生の仕方などのディティールは既に完成されていたのではないかと思えるほど、見た目の「ヴィラン感」は中々のもの。
今作ではピーター・パーカー:スパイダーマンに寄生してしまうことから、「ブラックスパイダーマン」という新しいキャラクターも誕生し、それはそれでビジュアル的にも結構良かったと思う。
黒いスパイダーマンなんて、それだけでも十分カッコいいと思うんだけどね。

物語も「2」辺りでちょっとダークサイドに堕ちかけたピーターが、今作ではそれほど堕ちるわけでもなく・・・というよりMJの闇のほうが遥かに深くて、ピーターが健気に励ましてみたり。
・・っていうか、やっぱりキルステン・ダンストは可愛くはない(笑)。

いい女優さんだとは思うけど、ヒーローものにおけるヒロイン顔ではない。劇中では配役を降ろされる役だったけど、リアルではこの役を3作演じられたことのほうが凄くね?って感じ(笑)。

アクションシーンもスパイディならではのスピード感溢れる映像だし、公開当事はあまり好意的にみられていなかった記憶があったけど、決してそんなに悪い作品ではないと思う。
むしろサムライミ版の3部作のまとめ方としては結構良かったとさえ思う。
・・・あとはMJさえ・・・(笑)。

それはさておき、「ヴェノム」っていったい何者?ってところからですよね。
「ヴェノム」自体は人間に寄生した時点での呼称で、本来は「シンビオート」という地球外の寄生生命体です。
これがまた厄介で、寄生生命体のくせに意志を持っていたり、奇主との感情の共有をすることで更なる能力を発揮できたり、寄生した人間の能力を受け継いだりと「実は最強なんじゃね?説」が根強いキャラクターの一人(?)です。

今回面白かったのが、寄生されたピーターの変貌ですよね。
根本にあるのは『ベンおじさんを殺した犯人への怒りや憎しみ』なんですが、そこに寄生したシンビオートによって表面化した「ブラックピーター」は『自己顕示欲の塊』のような奴だったのです。

シリーズを通して観てきたときに、特にこのサムライミ版のピーター(トビー・マグワイア)の内向感は他のシリーズの同キャラ(アンドリュー・ガーフィールドやトム・ホランド)よりも強く、決して「愛すべき隣人」として自ら進んで誰かに手を差し伸べられるようなタイプの人間ではなかったんですね。
そんな「シャイでウブでナイーブ」なピーターが、少しずつ自信を身につけていく、いわば「グロウアップ物」的な要素もあったわけです。

しかし、そんなピーターにシンビオートが寄生し彼の内面的な欲望が顔を出します。
ここが「可愛い」と思ったんですが、普通「内に秘めたる野望」みたいのが出てくるときって、破壊的だったり、独善的だったり、とにかく欲望のままって感じなりますが、ピーターから湧き出たのは【自己顕示欲】。
もっと平たく言えば「チヤホヤされたい」「注目されたい」。
ヴェノムに寄生されたスーツを着て街を闊歩しているピーターはついつい踊りだします。
お世辞にもダンスが上手いとは言えないけど、だからこそ『普段は決してそんな事をしないピーターからの開放』みたいにも見えてしまう。
そのぎこちないステップや腰振りダンスが、なんか「必死か?」っていうくらい意地らしいというか可愛らしく見えたんです。

落ちこぼれ記者のエディに取り憑いてからは、ヴェノムの本領発揮というところでしょうか。
いわゆる「スパイダーマンVSヴェノム」という構図は最後の最後にしか訪れず、寧ろ「ピーターとMJの恋模様」や「ピーターとハリーの友達関係」などに力点が置かれているため、今になって思うと「ヴェノムをもっと上手く扱ってほしかった」という個人的願望も沸いてきました。ただ、それは「今の」感想。

当時はサム・ライミ版の3部作完結編として、3人の若者のそれぞれの結論が出されたのでそれはそれで納得してみてました。

最新作はどうなるんだろう?スパイダーマンとの絡みはあるんだろうか?次回作以降の登場はあるのだろうか?
ひょっとしたら「第2のサノス」のように「Next MCU」の最終兵器のような扱いにしちゃったりして・・・。

とにかく楽しみで仕方がない。
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