けーな

家族の庭のけーなのレビュー・感想・評価

家族の庭(2010年製作の映画)
3.2
「ヴェラ・ドレイク」と「秘密と嘘」で、心を大きく揺さぶられたマイク・リー監督の作品。今作でも、ヒリヒリとした感情が湧き起こった。あの2作ほどの感動は、無かったけれど、登場人物達が繰り広げる会話劇は、実に秀逸だった。

夫婦仲が良くて、幸せな日々を堅実に過ごすシニア夫婦と、その妻の職場友達で、離婚歴があり、なかなか幸せになれず、葛藤する1人の女性を描く。

その葛藤する女性メアリー、かなり痛い人で、私は、とても苦手なタイプだ。正直、私だったら、仲良くしないな。職場の付き合いは、仕方がないとしても、家に呼んだりとか、絶対しないと思う。しかし、この夫婦は、疎ましいと思いながらも、付き合ってあげる。メアリーの弱さを知ってるから、優しくしてあげているのか。と言っても、ベタベタと優しくするわけじゃなくて、わりと毅然としてるというか、冷静に接していて、妻のジェリーが、心理カウンセラーなだけあるなと思った。とは言っても、ラストの場面は、逆に、酷い仕打ちな気がした。

とにかく、特別な事件が起きるわけでなく、淡々と進むストーリーの中で繰り広げられる会話劇。人間関係や、それぞれの性格を、表面で見える部分だけでなく、奥の部分を暗に物語っていて、深かった。

メアリー役のレスリー・マンヴィルが、巧かった。周りの空気を読めない感じとか、負け犬な感じを上手く表現してた。

それから、夫婦の名前なんだけど、夫がトムで、妻がジェリー。トムとジェリー‼︎ そのネーミングには、理由があるのか、偶然なのか、気になる。
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