nt708

八月の狂詩曲(ラプソディー)のnt708のネタバレレビュー・内容・結末

4.1

このレビューはネタバレを含みます

原作を読み、本作の最後にあたる場面を読んで黒澤は映画にできると確信したという。なるほど、本作はある意味で最後のシーンをやるために作られた映画と言っても過言ではないように思う。あの日、自分の愛した人を思い出して土砂降りの中を傘さしながら歩くおばあちゃん、それを追いかける孫と息子・娘たち、、原爆と言うやりきれない経験をしながらも、何とか前進しようとする日本人の姿をあそこまでまざまざと描き切った黒澤の手腕はさすがである。

映画の内容そのものに対しては賛否もあるだろう。しかしながら、黒澤が何をしようとしたかの断片はスクリーンから感じることができるし、私が戦争を経験した人間ではない以上、一概に批判をすることは難しい。ただひとつ言えることは、本作を観て少しでも多くの人が日本にもこのような歴史があり、日本でもアメリカでも同様に苦しんでいる人、それでも前を向いて生きようとしている人がいることを感じてほしい。私が胸を張って言えるのは、それくらいである、、
nt708

nt708