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八月の狂詩曲(ラプソディー)のTRBのレビュー・感想・評価

4.2
長崎を見下ろす白く大きな雲

75年前もこんな青空だったんだろうか

ハワイに来て欲しい

2発目の原爆が落とされた長崎から少し離れた山村
お婆さんに兄からの便りが届く
孫4人を預け代わりにハワイへ旅立つ息子たち

ちょっと変わった夏休み

茅葺の屋根に広がった田園風景
暮らした事はないけど、どこか懐かしい日本の原風景

壊れたオルガンの歪な音色
ハワイに行きたい孫たちはお婆さんを説得するが、当の本人は兄を覚えていないと言う

お婆さんが訥々と語る家族と戦争の記憶

戦争を知らない孫たちはお爺さんの命日と場所を知る

8月9日

校庭のひしゃげたジャングルジム

軒先で揺れる暖簾に風を感じ

瀑布のグリーンに涼を感じる

夜に吸い込まれる虫の声

綺麗な日本の風景と生々しい体験

アメリカを憎んでない、戦争が悪かったと話すお婆さんに対し、息子たちがアメリカ側に立って話した時、悔し涙が出た

アメリカ国内でも、あの2発は必要なかったと言う機運が高まりつつあるらしい

唯一の被爆国としてもっと世界に訴えるべき事だと思うし、国内での語り部が減っている事にも危機感を持たなければいけない

日本のことは大好きだし、昔から同年代よりは関心のある方だと思っていたけど

「ピカは戦争ば止めるために落としたって言うて、戦争から45年経ってもピカはまだ戦争を辞めん
まだ人を殺しよる」

非常にショックを受けた

どこか心の片隅で、終わった昔の事として認識していた

けど当事者の方たち
被爆された人たちはまだ戦っておられたんだと改めて気付かされた

生きた時代は違えど、同じ日本人として本当に恥ずかしい

戦争シーンや原爆のシーンは出ないが

それを想起させるイメージやお婆さんの行動に、年月が経っても忘れる事が出来ない原爆体験の強烈な印象が伝わってくる

個人的に終盤は非常にショッキングだった

世代間によっての戦争と原爆のとらえ方や、生活に溶け込むアメリカを意識化に置いて進むストーリーなど、月日が経って忘れていく事と語りつぐ事の難しさを感じた作品。

最後の面舵の取り方がスゴイ

まさかのリチャード・ギア
握手してるシルエット以外はあまり印象にない

野中のばらとアリがまるで原爆

目が怖い

こんな田舎で暮らしたい

75年
ずいぶんと経った

アメリカが使った事で世界の核事情は大きく変わった
各国がこぞって開発、保有してしまった

過ぎた力は身を滅ぼす

そうなる日が来ない事を願う
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