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プレステージのpanpieのレビュー・感想・評価

プレステージ(2006年製作の映画)
4.2
「David Bowie is」を観てボウイのフィルモグラフィーを良く知らなく調べてみたら結構出てるやん!と衝撃を受けどれだけ観なければいけなかった時期に映画を離れていた事を毎回悔やんでいるのだが今作もそれ。
どれから観ればいいのか順番を迷う程観たい映画が多すぎて悩みましたがクリストファー・ノーランを知りたくてデヴィッド・ボウイを観たくて今作観てみました!


山林に何故かシルクハットの山。
最初記憶に残らなかった重大な伏線。

マジックは3つのパートから成り立っている。
1つ目は「確認(プレッジ)」
2つ目は「展開(ターン)」
そして1番重要なのが3つ目の「偉業(プレステージ)」

老人が可愛らしい女の子にカナリアを使ってマジックを見せている。
カナリアをまず見せ(「確認」)ケージに入れて布を被せぺちゃんこにし(「展開」)ドキドキさせてからカナリアの瞬間移動を見せる(「偉業・プレステージ」)。

そこと絡めてステージでマジックを披露している。
何やら稲妻の様に放電している中に一人の男が立っている。
体に稲妻が走る。
それと並行してもう一人の男が舞台裏へと勝手に忍び込みタネが詰まっている舞台下へ行く。
稲妻は徐々に激しさを増していく。
その真下には巨大な水槽がある。
タネなのか?
どうなるの?とドキドキしていたらステージの男が消えた!
男は稲妻が止むのと同時に消えたのだ!
突然舞台下の水槽へステージに立っていた男が落ち鍵がかかって開けられない!
水中で必死にもがき苦しむ男をタネを探しに行った男が呆然と見ている。
ただ事ではない事に気付き水槽を割ろうと試みるも間に合わず落ちた男は溺れ死ぬ。

冒頭からショッキングな映像!
この事故を巡って舞台下へ降りて行った男の裁判となり男は収監される。
その男はアルフレッド・ボーデン。
水槽で溺れて死んだのはロバート・アンジャー。
物語は二人のマジシャンの永年の確執とボーデンはアンジャーを殺したのかという疑問を観るものに投げ掛けサスペンス仕立てで進んで行く。

日記が効果的に使われ最初の日付は1897年4月3日から始まる。
アンジャーは列車の中で誰かの日記を読んでいる。
雪が積もっている中コロラド・スプリング駅に降り立つアンジャー。
この時代にこの小さな町に街灯が灯っている!
アンジャーが訪れたのはエジソンにも劣らない電気事業を発展させ数々の発明をした実在の人物で発明家のニコラ・テスラの屋敷だった。
屋敷には電流を張り巡らせた塀で囲ってあった。
1度目は門前払いされるのだがテスラの使用人のアリーになんとか取り入ってテスラと会える事となる。
テスラと契約しテスラの発明した瞬間移動装置がなかなか成功しないがある日テスラはシルクハット以外で初めて生き物(黒猫)で実験をする。
だが黒猫は稲妻を激しく浴びたが消えず実験は失敗したと思いアンジャーは諦めて屋敷を出た所で激しく鳴く黒猫を発見する。
黒猫が二匹!
そしてそこにはシルクハットの山が!
その意味が分かった時驚愕の表情を浮かべるアンジャー。
全ての謎が解けアンジャーは禁断のマジックに挑戦する事になる。
自らの命を懸けて。

ヒュー・ジャックマンとクリスチャン・ベイルの競演が本当に素晴らしかった。
やられたらやり返す。
仕返しの仕方がえげつなくなってきてちょっとこの先まさかと私の想像を遥かに超えたラスト!
流石クリストファー・ノーラン!


いや〜本当に面白かった!
クリストファー・ノーランに至ってはちゃんと観たのが「インセプション」ぐらいで「インターステラー」は観たけどレビューを書ける程詳しく覚えてないし「ダークナイト」も「メメント」も観ていないので語る資格はありませんが今作でもやられましたね!
相変わらず時系列はぐちゃぐちゃだけど段々と観ているうちにつながって行くパズルの様な美しい映像。
衣装や女性の髪型が素敵だった。
時代設定も良く実在するニコラ・テスラをうまく使っていて薄っぺら感はなく見応え十分。
昔のような目力はなかったけどボウイが抑えた大人の演技をしていた。
今作で59歳だったんだなぁ。
なんかしみじみ。

カッター役のマイケル・ケイン。
ノーラン作品の常連さんなんですね!
「インセプション」でも映画を引き締めていたけど今作もなくてはならない存在感。
凄く好きな俳優さんとなりました。

レベッカ・ホールは今作でデビューだったようですね。
「ザギフト」の時の方が綺麗だった気が…

綺麗といえばスカーレット・ヨハンソン!
本当に綺麗過ぎる!
髪型や衣装がまた彼女を引き立てて美しいと言ったら!
あれは惚れるわ〜!(*^^*)
オリヴィアぴったりでしたね!

マジックへの追求が半端なく最終的にはこれはもうマジックでは無く科学の領域だと思う。
アンジャーはエンターテイメント的に優れていて舞台映えもするしボーデンはもしかしたらカッターの様にタネや仕掛けを考え作り出す裏方が向いていたのかもしれないなと思った。
あんな不幸な事故さえなければ2人はもしかしてコンビで有名になっていたかもしれない。
でも2人がまだ若かった頃中国人のマジシャンのマジックを見に行った時から日常から騙して行くテクニックに感銘を受けたボーデンとあくまで仕事と割り切って対価を払いたくないアンジャーの目指す方向の違いが顕著に現れた瞬間だったのかもしれない。
水と油。
決して混ざり合うことのない2人。
やはり2人は両極に位置していたのかもしれない。

しかし幾度となく出てくるカナリアや鳩など昔のマジックではいとも簡単に殺していたんだな。
マジックが終わった後死んだ鳥をゴミ箱へ捨てているシーン。
観ていてそこが嫌だった。

でもアンジャーの妻だったジュリアの縛り方が私はボーデンが二重結びにしたのではないかと思っている。
あの事故の時ボーデンとジュリアはアイコンタクトをしてボーデンは縛り直している。
最後まで分からないと言っていたボーデン。
何故?
本当に分からないの?
それとも真実は告げず墓まで持って行くつもりなの?
例え真実を告げたとしてもアンジャーがもう二重結びにしたと結論付けているので展開は変わらなかっただろう。
この事故がなければ2人はどうなっていたのだろう。

ライバルは時にお互い切磋琢磨して自分を一段高めてくれる大切な存在だと思う。
だが今作の様にそこに憎しみが加わった時に復讐を繰り返しやがてはそれが殺意に変わり最終的には自分の命を懸けてまで追求しようとしたのはなんだったのだろうか。
相手のマジックを盗みそこまでして自分の物として替え玉を使ってのマジック。
きっとお互いの才能に惹かれ合いながらもしかして1番相手に近く魅せられていた2人。
しかしラストには本当にやられた。
素晴らしい練られた脚本ありきの今作。
またノーラン作品を観ていこうと思った。
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