キャッスルグレンギャリ

残菊物語のキャッスルグレンギャリのレビュー・感想・評価

残菊物語(1939年製作の映画)
3.8
U-Nextで鑑賞。「仕事と人生に効く教養としての映画」(伊藤弘了著)で紹介され、溝口健二作品を見るのは今回が初めて。
デジタル修復版と付されていたのですが、画像の状態は極めて悪かったです。音声は問題なし。
カメラが俳優をずっと追いかけていく撮り方、ワンシーンワンショットを初めて観ました。俳優の台詞ごとに俳優のクローズアップが目まぐるしく切り替わる小津安二郎の撮り方と真逆でした。アマチュアには真似できない手法と思います。真似したら撮り直しさせられると思います。
画像の状態が悪いのに加えてクローズアップがないので、お徳を演じた森赫子の顔が最後まであかりませんでした。
物語は、身分の低い妻に励まされ、社会での苦労を経て大名跡を継ぐまで成長していく歌舞伎役者の物語。結局許されず身を引き亡くなるのは本当に気の毒。今の時代には観られぬ恋愛劇でした。
しかし歌舞伎界ってなんでこんない気位が高いのでしょう。落語と何が違うの、同じ伝統芸でしょう。とっつきにくい世界です。