タキ

市民ケーンのタキのレビュー・感想・評価

市民ケーン(1941年製作の映画)
5.0
当時の最新かつ斬新な撮影技術と演出、そのエッジの効いた内容等、予習もしくは復習が必要な作品。
実在の新聞王ウィリアム・ランドルフ・ハーストをモデルにしており、彼を怒らせたことでメディアから叩かれ、上映妨害やアカデミー賞に多数ノミネートされていながら脚本賞のみの受賞にとどまったらしい。今となってはこの事実も含めて箔がついた作品という感じがする。
初見では詳細を知らずに見たのだが、「薔薇のつぼみ」という死に際の言葉の意味を探るというミステリのような仕立てからゆかりのある人物へのインタビューからケーンのひととなりを多面的に描く手法や10年の月日の流れを食卓に座る男女2人によってのみ表現するという洗練されたオシャレ演出がカッコ良くて好きだった。特殊メイクもすごい。20代半ばのオーソンウェルズに徐々に老けメイクをほどこし、最終的には70歳の老人になっていた。あまりにナチュラルでビックリした。
ケーンは公職に就くことはなかったがアメリカファーストをうたう傲岸不遜の実業家が大統領になる未来を私たちは見てしまった。彼は市民ケーンがお気に入りの映画らしい。ちょっと笑ってしまった。
NHKBSプレミアムにて。
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