きょう

市民ケーンのきょうのレビュー・感想・評価

市民ケーン(1941年製作の映画)
3.9
● 映画史に残る不朽の名作
● 豪胆さと悲哀さに溢れる男の人生
● 悲しい哉時代の流れには抗えない

映画好きを自称するなら必修な本作。
恥ずかしながら舞妓ハーン的なノリで市民ケーンだと思っていた時期があったのだが、あくまで市民のケインの一生を描く作品なのであしからず。こんな間違い私だけだろうが…。

本作は孤独に死んだ大富豪ケーンという人を、関わった人物それぞれの視点から描いていく。
豪胆であったり自分勝手であったり優しかったり視え方はやはり違うのだが共通するのは寂しさであろう。
作品の大きなフックである薔薇の蕾とはなんなのか、何故それが最後の言葉で抱えていたのはスノードームだったのか。それに思い馳せ終劇を迎えてほしい。

ただ、製作から80年が経過している事実は抗いようがない。登場人物の心情や社会情勢には感情移入しにくくなっており、それは本作を評価する上でのノイズとなる。今後どんどんそれは大きくなっていってしまうのだろう。

演出や構成、脚本、撮影技法など1941年当時を思えば革新的であろう。
私の知る映画に置き換えるのであればケーンの人生は華麗なるギャツビーを彷彿とし、どんどんと深層心理に迫りながらも結末を断言しないところはインセプションを、多数の視点から一人の人物像が描かれるのは桐島部活やめるってよを思い出したり…。
これらの作品が影響を受けたのか否かは別にして、市民ケーンなどの過去の名作を視聴しておくとルーツを意識できたり、一度の視聴で得られる情報や明瞭度が上がるかと思う。
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