荒野の狼

マリー・アントワネットの生涯の荒野の狼のレビュー・感想・評価

5.0
「マリー・アントワネットの生涯」は原題「マリー・アントワネット」で1938年の作品で2時間半の大作。衣装にお金をかけ過ぎて、カラーにするのを断念したとのことだが、カラーであれば同時期に制作された「風と共に去りぬ」などと比較される作品になったのではと思われ惜しい。
原作はシュテファン・ツヴァイクのもので、同じ原作を使っている池田理代子の漫画「ベルサイユのばら」とほぼアントワネットの描き方は同じだが、欠点はほとんど描かれていない。ルイ16世により同情的でラストのほうは、よいファミリードラマ的な要素すらある。逆に革命を起こしたフランス市民は野獣のような描き方でいただけない。
アントワネットを演じたノーマ・シアラーは当時36歳くらいのに対しフェルセンを演じたタイロン・パワーは24歳くらいなので、前半はかなり若々しい青年といった感じで登場するが、ラストで牢獄のアントワネットを助けようとするあたりでは「ベルばら」に負けないヒーローぶり(史実とは違う部分は多少あるが映画の見どころ)。
本作でユニークな登場人物はアントワネットに忠実なランバル公妃と敵対するオルレアン公。ハリウッドの作品なのでセリフは英語なので、冒頭こそ違和感を感じる視聴者もいるかもしれないがすぐに慣れると思われるので問題はない。
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