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東京暗黒街・竹の家のmareのレビュー・感想・評価

東京暗黒街・竹の家(1955年製作の映画)
4.0
サミュエル・フラーが東京を舞台に、それもお国柄を無視したフィルムノワールをやってのけるというかなり異質な活劇で妙な魅力が溢れていた。外人以上に日本人がカタコトだったり、室内なのに下駄を履いていたり、ツッコミどころ満載だがその大雑把な隙すらも特異な日米共同スタイルが窺えて非常に良い。日本でなきゃいけない特別性は特にないのだが、結果として荒唐無稽な画面構成に一石を投じているという意味で価値がある。とはいえ正統なノワール映画なので銃撃戦は文句なしにカッコいい。クライマックスを飾るデパート屋上でのギリギリの撃ち合い、いかにも昭和な日本の日常ロケーションを一気にギミックありの戦場に変えてしまう画期的な機転の利かせ方は日本人には絶対に思いつかないと思う。整合性が大きく傾いてしまっていても、ひたすらに動きをつけることで映画的爽快感を与え続けられることを証明している。
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