YasujiOshiba

イベント・ホライゾンのYasujiOshibaのレビュー・感想・評価

イベント・ホライゾン(1997年製作の映画)
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こりゃ面白かった。「宇宙を舞台にした幽霊屋敷」というのコンセプトだったんだね。Wiki.en を見ると、1963年の『たたり(The haunting )』とか1980年の『シャイニング』に触発されたというのだけど、なるほどそういうことかという映画。ワープ航法によって地獄とつながってしまうというのは、それだけじゃ面白くないけど、それを古典的な幽霊屋敷映画に仕立ててしまうところが秀逸。

サム・ニールは、こういう取り憑かれるインテリ博士をやらせると最高。それから、船長役のローレンス・フィッシュバーンは、なんだか若々しいけど『マトリクス』(1999)のモーフィアスを演じたのはこの映画の2年後。

それから、映画のタイトルになったEvent Horizon だけど、これは第一義的には物語に登場する宇宙船の名前「イベント・ホライズン号」。ただし、この船は、ワープ航法を行うために時空を歪めて、ぼくたちが認識できる現象の向こう側へ、すなわち「地獄」に行って帰ってくる。そんな、ぼくらの認識できるところと、もはや認識できなくなるギリギリの境界線のことを、イベント・ホライズン(事象の地平線)と呼ぶらしい。

 たしかに地平線(あるいは水平線)のこちら側は見えるけど、その向こうは見えなくなってしまう。そんなホライズンの向こう側に、いったい何があるのかというのが、このタイトルの意味しているところ。ようするに、その向こう側から幽霊たちがやってくるところで、日本語でいえば黄昏ってことなんだろうな。でも、物理学・相対性理論の概念イベント・ホライズンとやることで、いかにもSF的な響きがするってところがみそ。

それにしても、こんな面白い映画、どうしてノーチェックだったんだろ。まあ、バイオハザードシリーズの監督さんだからね、実力はあるわけだよね。ともかくも、ぼくは堪能しました。
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