タキ

スタンド・バイ・ミーのタキのネタバレレビュー・内容・結末

スタンド・バイ・ミー(1986年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

少年たちの冒険譚は今見ると実はほほえましいことなどなにもなかった。冒頭からかつての友達の死、兄の死、見知らぬ少年の死、など物語全体に死の香りがたちこめている。死体がないというのが結末だったような勘違いをしていて本物の死体を見つけるシーンにギョッした。その上ひとりも彼らを信じて愛してくれる大人がおらず、世界に4人きりの孤独が終始胸を締め付ける。 1959年が設定ということもあって想像以上のホモソーシャルの中で「男らしさ」というものをお互いに押し付け合っていて、それがまた悲鳴のようで辛いシーンが続くのも失念していた。年長チームがチキンレースを止めないのに対して少年たちの方は線路に立つ友達を力ずくで止めるというエピソードがあって「男らしさ」の神話を終わらせる新しい時代の人というほのかな希望が見えるのがとてもよい。
クリスは大人になってもやはりあの頃のクリスのままで、ひどい家庭環境や周囲の目をものともせずなりたい自分になった彼をなぜ神様はこんなに早く連れて行ってしまったのかあまりにも理不尽でやるせない。
原作ではゴーディ以外みんな死んだことになっていてさらなる過酷な結末にそこらのホラーより衝撃を受けてしまった。
刹那の少年時代と一瞬の死を描く手腕はやはりスティーブン・キングの作品だなと深く頷くとともにそこに付加価値としてリヴァーフェニックス自身の物語があるのもこの作品の他では得難い魅力のような気がする。
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