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BIUTIFUL ビューティフルのCHまちのネタバレレビュー・内容・結末

BIUTIFUL ビューティフル(2010年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

《作品概要》
ウスバルは幼い頃に両親を亡くし、生きる為に裏社会で様々な取引をして生計を立てていた。そんなある日、トイレで血尿が排出され異変に気付いた彼は病院で検査を受けた結果、余命2ヶ月だと診断される。残りの人生をどう生きようかと模索する彼の最期のときまでを描いた作品。

《感想》
BGMやカメラワークが独特なんだけど個人的には好きな部類でした。

病気のことを最後の時まで心配をかけないように秘密にしておき、家族の為に何とかしようと頑張る姿は観ていてとても切ないです。また、自分が幼い頃に両親を亡くした経験から子供達にはせめて大人になるまでは父親のいる生活を送って欲しいと思う気持ちを考えると叶わぬ願いになってしまうことがとても悲しくなります。

作品自体がかなり悲愴感漂う感じになっているので気持ちが沈んでいる時に観ると傷口に塩を塗る感じでさらに沈んで行きそうになりますね😓

~ウスバルの特殊能力について~

ウスバルは霊媒能力の様なものを持っていて死んだ人間と交信し、生前の記憶(心残りに思っていること)を聞いたりしてあげて、あの世に安らかに送ってあげるような能力だと推測しています。

前半部分で出てきた霊安室やガスストーブの事故で亡くなってしまった人がいた地下室で幽霊みたいなものが天井にいたと思うのですがこれもウスバルの能力によって視えているものだと思われます。

~冒頭とラストのシーンで出て来た謎の青年~

冒頭とラストのシーンで出てくる青年の正体はウスバルの父親で、雪原みたいなところは生と死の狭間のような(三途の川のような)場所なんでしょうね。

そして、ウスバルが青年の父親に「向こうには何が?」と聞いていたのはその先が死後の世界(天国か地獄かは分からないけど)なんだと思います。

ウスバルは死ぬ前に家族や他の人の為に色々と何かを残そうと頑張るのですがすべて裏目に出てしまい散々な時を過ごしてしまうけど、最後の最後でこの父親に再会できたことはせめてもの救いなんじゃないかと個人的に思います。

全体的に過酷で悲しいお話なんだけど、最後の雪原のシーンでのウスバルと青年父親との会話や周りの風景は切ないながらも暖かくてどこか美しいものを私は感じました。ここは上手く言語化できないけど素晴らしい演出だったと思います。

評価が分かれそうな作品ではありそうですが私は好きな作品でした。
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