ウシュアイア

阪急電車 片道15分の奇跡のウシュアイアのレビュー・感想・評価

阪急電車 片道15分の奇跡(2011年製作の映画)
3.3
[あらすじ]
婚約相手を会社の後輩に寝取られてその復讐に白いドレスで結婚式に参列したOL翔子、
犬を飼いたがる少女亜美とその祖母時枝、
彼氏の暴力に悩む女子大生ミサ、
田舎育ちコンプレックスを抱える女子大生美帆、
息子の学校のPTAの付き合いを断れなくて悩む主婦康江、
進路に悩む女子高生悦子、
同級生のいじめに悩む小学生翔子、
阪急今津線沿線に住む女性たち達が出会い、彼女たちの人生が同じ電車の中で絡み合う。

[感想]
関西に行ったときは何だかんだで阪急を使うことが多い。いつも思うのは阪急のえんじ色の車体はレトロ感があって好きだ。人々の暮らしを感じる街並みを残す今津線沿線を舞台となっており、趣を増している。

神戸本線や京都本線となると田園都市線や東横線と似た状況で、人のせわしなさの方が目立つため、あえて今津線なんだろう。関東圏だったら池上線?

女優達のいい演技、含蓄のある台詞、同じ路線を使っていること以外縁がなかった女性たちがつながっていく展開は見事である。しかし、完全女性目線の女性向け作品であった。どうせなら男の人の登場人物がもっと出てきてもよかったと思う。

宮本信子さんの演技円熟の極みを見せてくれる。そして、マナーを無視するおばちゃん相手に説教する演技は、『マルサの女』や『ミンボーの女』で見せた戦う女の延長線上にある気がする。

しかし、中心人物となる中谷美紀も宮本信子も関西出身ではないため、やはりどうしても関東式のしゃべり方になってしまうのは気になる。関西出身ではない設定を与えて、どこかでエクスキューズしてもよかったのでは?実際、あの地域には関東出身者も多く住んでいるはずだし。

都会でも田舎でもない場所が舞台の人間模様の映画。
そういえば、町田を思わせる町を舞台にした『まほろ駅前多田便利軒』に通じるものもある。
(2011年5月6日)
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