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サブウェイ・パニックのkissenger800のレビュー・感想・評価

サブウェイ・パニック(1974年製作の映画)
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はーアガるー。

デンゼル、ニューヨーク、この映画。
それぞれへの愛では人後に落ちぬ。という自負があったので
デンゼル×ニューヨーク×この映画
なリメイクのニュースにまず狂喜し、そこから日を措かずやって来た日本劇場公開プロモーション業務の依頼たるや「何これ死ぬの俺?」って当時の多幸感はいつだって素で思い出せる、と言ってきたのですが久しぶりにオリジナルのこっちを見たらちびりそうでしたやーねー本当はちょっとちびったかも。

- 初めて見た35年前(……)に痺れた理由、エンディングカットはもちろんとして本作前に『狼たちの午後』(1975)を見てたから、というつながりも記憶の底からサルベージされた今回でした。台詞"We don't want another Attica"、アティカ刑務所の暴動はいはいアル・パチーノが言ってたやつ! って字幕にない情報を認識できたことによる感激の増幅。いかにも大学生っぽくないですか

- 同じ系統でいうと"What's wrong, dude? Ain't you never seen a sunset before?"が「何だ、女なら白も黒も世話するぜ」となっていて、ああ字幕担当者も分からなかったんだな。というどうでもいい発見とか(オレンジのシャツを着ている話者をマジマジと見るロバート・ショウにかけられることば「おっさんオレンジ色がそんなに珍しいか」)

- 出版編集者時代、この映画を紹介したいあまりニューヨーク映画特集を自社媒体に押し込んだことがあって、NY地下鉄路線マップわざわざ許諾とって掲載というどこにもニーズがない犯行に及んだ私としてはですね、もう新しい発見なんか残ってないと思ってたんですよ。それがさあ

- コミックリリーフとして描かれる市長が嫁にかけられるa regular Fiorello La Guardiaだの、ウォルター・マッソーが吐き出すホモフォビックなfruitcakeって男性同性愛者を指す蔑称だの、気付けていなかったことオンパレード。自分のなかでコスり倒してきた作品を新鮮に楽しめてしまうというラッキー回(ラ・ガーディアは「よ、名市長」ぐらいの掛け声/フルーツケーキが原義を離れた意味を有するに至る理由をカラバッジョ「果物籠を持つ少年」に見出す説があるんだって?)

- ちなみに運転士役がマシュー・ブロデリック父という話も今回はじめて目に留まったトリビアです

- 日本人視察シーンは何回見てもふつうに笑えるのが良い。ユダヤ系だから生きてくるキメ台詞とあわせ、狷介キャラが登場早々からさりげなく、しかし入念に仕込まれてるんだよなあ。"This way, dummy."

- ペラム・ベイ・パーク駅を1時23分に出発する列車だからこのタイトル、まではふつうに解説可能だけど最後のシーンは舞台となる駅の構造を分かっていないと意味伝わらないのでは。でもそれネタバレ。みたいなことも毎回思うんですが、まあね、大きなお世話だな。という自覚はあります
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