竜平

世界中がアイ・ラヴ・ユーの竜平のレビュー・感想・評価

世界中がアイ・ラヴ・ユー(1996年製作の映画)
3.4
再婚や連れ子でちょい入り組んでいるとある家族と、その取り巻きたちが織り成すミュージカル的ラブストーリー、及び群像劇。

ウディ・アレンがミュージカル、ってなわけで見る前はどんなもんかと、正直合わないんじゃないかなんて思ってたけど、そういえば元々『アニー・ホール』あたりでも似たようなニュアンスで展開する場面があったことを思い出す。ミュージカル映画としての出来は、まぁぶっちゃけ可もなく不可もなく、いやちょっぴり出来はわるいほうかもしれない。とりあえずこれはご愛嬌。ただベタさとスマートさ、これが上手い具合に重なるもんだから「んなバカな」な展開が時に笑えて、時に素敵にも映るという。で、個人的に推したいのがやっぱり人間模様、そして十八番のちょいドロドロ系の、うつろいやすい恋愛模様というもの。それぞれの思いが飛び交う複雑な家庭を活写しつつ、やがて来る終盤の、完ぺき狙ってやってるであろうテキトー具合、目まぐるしい展開にも笑う。と共に、ちゃっかり湿っぽく、それでいてちゃっかりほっこりさせるラストは見事、いやこれもウディ・アレンの「節」なんだよなと。作品としては、始まりと終わりでこんなにも雰囲気変わるのってめずらしい気がするけど、どうだろう。

監督と更に出演も勤めるウディ・アレン、そこにゴールディ・ホーンやドリュー・バリモアやエドワード・ノートンやナタリー・ポートマンなどなど、キャストがじつは豪華絢爛でこれだけでも見る価値が十分あったり。ジュリア・ロバーツとティム・ロスの配置も絶妙だなと。見終わったあとに何か残るかと言われたら今作に関しては微妙なとこだけども、まぁサラッと楽しめる一本。
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