久しぶりに見ました。
ソウル・バスによるタイトルバックのデザインの斬新さ、バーナード・ハーマンの音楽の重々しさが強く印象に残り、こんなに洒落た映画だったんだと驚きましたが、肝心のサスペンス自体は、前回見た時あまりに印象が強かったせいかモーテルに入ったあたりからその先何が起こるかおおよその事を思い出してしまい、余り楽しめませんでした。
見たのは、ん十年前のはずなんですが、怖かった部分の印象だけ鮮明に残っているのですよね。で、そのサスペンスに至る病の原因があまりに分かり易い歪み方でしかも個人的な感じがする。「ああ、こういう部分で私はヒッチコックが好きになれないんだな」と冷静に見てしまい、ちょっと楽しくなかった。
この手の心理サスペンスを見るんだったら、ヒッチコックだったら『鳥』のほうが物語に広がりがあって楽しめるし、同じ様な狭い世界ならマンキーウィッツの『去年の夏突然に』のほうが普遍的な深さに到達している様な気がします。
ただ、怖さの演出、これは素晴らしいです。
私の場合、許容範囲を超えていて、「痛覚(そういうものがあるなら)」を直撃されるという感じです。
ヴェラ・マイルズがこのころは楚々とした美人だったのがちょっと意外でした。
ソウル・バスのタイトルバックは『バニー・レークは行方不明』や『荒野を歩け』と同じくらい印象的で、素晴らしかったです。
(怖いより痛い 2012/11/17)
その後撮影についてのある事実を知り、安心してじっくりと見直しました。
何度見ても面白いです。
なお、ヴェラ・マイルズは『午後の曳航』のサラ・マイルズと勘違いしておりました。まるで別人でしたね。