“構造美だけで乗り切れる映画でした”
ベルナルド・ベルトルッチ個人的追悼の第2弾。
正直、ストーリーが戦時中のお金持ち達の話ってことと美人が脱ぐシーン以外、全く頭に入ってこなくてぼんやり絵作りを眺めるような鑑賞になってしまったのだが充分楽しめた(ゲスくてすいません苦笑)
なので技術的なところにフォーカスしてレビューします。
奥行きとか、キャラクターが映っている以外の室内構造も完璧に意識してるのが伝わる。
クローゼットの鏡を使って人が入れ替わって映るところとかかなり導線が複雑に絡まってたはずなのだけれど華麗に決まってるし、
絵の切り返しやカットの繋ぎとかも気持ちよくテンポが決まってる感じ。
舞踏会シーンが最高にイケてて、踊る群衆の流れとカメラのパンのタイミングと動きのシンクロ率がまさに芸術的だった。
ただ本作のタイトルにもなってる肝心の森の暗殺シーンが上手くいってなかったと思う。
手ブレで臨場感出しながら、これまでの室内のカチッとした感じとコントラストを出そうとしたのだろうけど、普通に見辛いし今まで完璧だったピントフォーカスが崩壊してたんじゃ無いかな?
1970年作品とはいえ、あの血糊の付くポイントと逃げ惑う女性の演出の仕方は学生が撮ったB級映画みたいに感じた。
いずれにせよ積極的にカメラを動かし、緊張感と興味深さを両立させてるのはさすが巨匠。
映画美っていうものを感じさせてくれる一本。