このレビューはネタバレを含みます
なんてこった。とてつもなく悲しい作品だ。
セルマは息子と2人で住むチェコ移民。移住の理由は息子が将来失う視力を治す手術を受けるため。母であるセルマがゆくゆくは視力を失うと分かっているから。
セルマは趣味のミュージカルの傍ら、手術のための資金を貯めようと昼夜問わず働く。しかし徐々に視力は衰えていき、ついに大好きだったミュージカルも諦めていく・・・
視力を失って生きる希望を失うセルマは、能力がなく、仕事に失敗する今の自分に重なって気持ちがよくわかる気がした。
この話で悪いのは誰?
失明する子どもが生まれると知って子どもを産んだセルマか、失明しているにもかかわらず働けるように援助した友人か、貯金を盗んだやつか、彼女を裁くことになる裁判制度か、死刑宣告を避けようと貯金を差し止め、弁護士費用に当てようとした友人か。何が正しいのか分からなくなる。