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愛と死をみつめてのmireiのレビュー・感想・評価

愛と死をみつめて(1964年製作の映画)
4.3

少女漫画好きな人これ本当に観て。
純情な愛がここにあるから、観て。
ときめいて泣いて。

「愛と死を見つめて」

阪神ファンとしては始まりが最高だった、この時代の阪神は強かったなあと沁々。高校時代よく散歩していた京都御所が映り親近感の湧く情景だったり、関西弁なのも感情移入しやすくて観ていてナチュラルに楽しい(標準語が8割なのだが)。

この映画は本当にずっと観たかった。笠智衆あたりの大御所が出ている事も理由になるが、吉永小百合と浜田光夫のカップリングは部屋にポスターを飾るほど好きだ、これほど純情な愛が現実世界にあるのだろうか、そもそも2人どちらも顔が大いに整っていて目の保養が凄い。2人とも猫背なのも愛おしい、2人についてはあまりにも愛おしすぎて変態な視線を送ってしまう。今すぐ結婚して欲しい。
観たかった理由はキャストだけでない、この映画の原作が実際に起きた出来事だと言う事だ。実際に2人の恋人が3年間にわたって文通をし、それが本になり映画になったのだ。先程これほど純情な愛が存在するのだろうかと言ったが存在したのだなと自分の浅はかな人生経験に涙する。

浜田光夫演じる河野實の愛の深さに序盤から号泣した、彼女の病気の重さを予感しながらも「僕は何があってもミコから離れない」とハッキリ誓うマコ。彼女が彼を傷つけまいと思って二人の関係を終わらすために放った言葉に対して本気で怒るマコを見て純情だ、と思った。私はもうマコの虜だ、「謝らないでおくれ、怒れなくなる」なんて今の日本にそんな事を言う純情な純粋無垢な男が居るだろうか、居ない。

「そんなに僕の愛情を信じれないのなら死ねよ」
「薬がなくなったって死ねる そこの窓から飛び降りたらいい」
「君はそんな浅はかな考えで生きていたのか」
「君は病気と戦ってそれで負けてもいいじゃないか」
「今まで君の面倒をみていた君の両親はどうなるんだ」
「君の命は安物なのか、僕はそんな君を愛していた覚えはない」

自殺をしてしまおうと、ミコはマコに告げるシーン。
精神的に病に破れたミコを必死に諭すマコの芝居はかっこよかった。
まるでマコという人間は浜田光夫そのものなのでは無いだろうかと言うほど自然で、全てのセリフが心から出ているように思えた。
感情で台詞を記憶し、話すという芝居だ。

笠智衆、駅で別れる時まで笑顔を見せていた父が、電車に乗り席に座り、娘であるミコと離れた時にじわじわと娘の病気について考え悲しみ苦しむ表情を見せるシーンには心が痛かった。
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