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フリーダム・ライターズのRyuのレビュー・感想・評価

フリーダム・ライターズ(2007年製作の映画)
3.9
1994年、ロス郊外のウィルソン高校に赴任してきた新米教師のエリン・グルーウェル。彼女が受け持つ203教室には様々な人種の生徒がいて、互いにいがみ合い、荒れ放題だった。そこでエリンは何でもいいから毎日日記をつけるようにとノートを配る。やがて生徒たちは自らの思いを綴るようになっていく。

これが実話だなんて世の中まだまだ捨てたもんじゃないですね。
生まれた時から他の人種を憎むように刷り込まれてきた子供たち。殺されないためには殺すしかない。序盤の暴動や対立からはもうどうにもならないんじゃないかという絶望感が募ってきます。
そんな状況下で育ってきた子供たちに寄り添おうとするエリン。最初は反発されるし、生徒たちはぶつかり合うし、全然上手くいかない。しかしエリンの柔軟性のあるやり方で生徒たちに教えていきます。生徒たち互いに、友達を亡くしたり、銃口を向けられたり、辛い思いをしてきたことを分からせる。その名称も知らなかったホロコーストのことを教えて、今自分たちが行っている人種差別がどれだけ愚かなことかを教える。そうして少しづつクラスのみんなの距離が縮まっていく様子は非常に素敵でした。変化を教えるってのは簡単なことではないけど、ホントに意義のあることですね。
しかし、クラスの雰囲気が良くなっていくにつれて、エリン個人はは夫と距離ができたり、他の教師陣から目の敵にされたり苦悩することに。それでも諦めずに生徒たちに真摯に向き合うエリンの姿はめちゃめちゃカッコよかったし、敬意を表します。正直、旦那さんの気持ちも分からなくはないから余計に辛い部分もありましたね。エリンに反発する教科主任の先生、ハリポタのアンブリッジの人ですけど、アンブリッジと同じくホントに憎たらしい教師でした。
根強い人種問題にも正面から向き合い、戦争やホロコーストなども交えながら大切なことを教えていくエリン。彼女には教育というものの理想形を見たような気がします。教える ということが如何に大切であるか、そしてその教える人によって、教えられる人をこんなにも変えられるんだ ということを改めて学べました。子供たちだけでなく、先生への教育題材としても素晴らしい作品だと思います。
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