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JAWS/ジョーズのdm10foreverのレビュー・感想・評価

JAWS/ジョーズ(1975年製作の映画)
4.0
【とどのつまりは・・・】

先日レビューした「ゾンビ」でも触れたトラウマ級映画の一本。
やっぱり、幼い頃に観るには強烈過ぎるんですよね、いろんな意味で。
とにかく、子供が観て直感的に「怖い」って認識できることが凄いと思うんです。

例えば4歳、5歳の子供に「地獄の黙示録」をみせてトラウマになるか?というと、実はそうでもない。それは「何だかわからない」し「残らない」から。

そう考えると「海には恐ろしい人喰いサメがいて・・・」なんて、ピンと来まくりですよね。
「え?まさか、去年の夏に行った銭箱の海岸にもサメがいたかもしれない・・・」
もうガクガクブルブルです。
結論から言えば銭箱の海岸に人喰いサメはいません。デロデロの海草が浮いているだけです。
ただ「死んだ人が蘇る」とか「海にサメがいる」とか、絶妙に子供の想像が追いつく距離感なんですね。だからこそ「怖い」。

で、昨日、たまたまBSでやってたんで何気なしに観ていたんですが・・・。

(・・・やっぱり怖い)

そりゃね、いい年した大人ですよ。嫁も子供もおりますよ。
でもね、普通に怖い。

あの時観たままの鮮度がそこにはあって、単に僕が子供の頃にゴムゴムの実を食べて以来のカナヅチなもんだから「水中モノ」に弱いとか関係なく、サメと人間の距離感が絶妙に怖いんです。
実際にいる生物を「ジェイソン」や「フレディ」のような高みにまで祀り上げてしまうスピルバーグ監督には改めて脱帽です。

先日観たゾンビで「時代」を感じると同時に「昔はこれが怖かったんだな~」と、既にトラウマの一つを攻略した達成感を掴んでいただけに、今回も「古臭いのかな~」なんて思いきや、全くそんな事は感じず、ひたすらサメから逃げる2時間(汗)。
以前「ジュラシックワールド」のレビューでもちょっと触れましたが、あまりに恐竜と身近になっていく感覚に戸惑うというか、絶対的な距離感ってやっぱり必要だと思うんですね。それはどんなに可愛がっている恐竜(ラプトルのブルー)だとしても「畏怖の存在」であるべきだと。

何が言いたいかといいますと、最近のこういう「モンスターパニック系」って、絵面のインパクトを強調することだけに主眼が置かれてしまっているというか「絶対的に抗うことのできない畏怖なもの」という描き方がおざなりにされているな・・・と。
それこそ、ステイサムを飼い殺しにした「MEG」なんかもそう。
何が怖いのかって、ただデカいだけなんですよね。そこに神々しさみたいなものは微塵も感じない。

そして、それを感じるのがこの「ジョーズ」であり「ジュラシックパーク」のT-REXなんですね。
スピルバーグ監督は本当にうまいと思う。
恐怖の対象ですら神々しい存在にしてしまうというか、心の底から「怖い・・・絶対に敵わない・・・」と思えるくらいにしてしまうんですね。

結果的にジョーズは倒されますが、この描き方こそ後々に影響を与えたことは間違いないと思います。

改めて。

普通に凄いっす。
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