「ウチのカミさんをよくも撃ってくれたな!ぶちギレたぞ!死ね!!!」
魔法のメダルを持つ少年が誘拐され、香港警察とインターポールが協力して救出に向かうお話。
ジャッキー・チェン主演のSFアクション映画です。
SFって時点でジャッキー映画では割と珍しい部類ですが、監督はこれまたレアなジャッキー主演のカーアクション「デッドヒート」も撮ったゴードン・チャン。
誘拐犯の組織相手に繰り広げるアクション自体は中盤まではいつも通り格好よく、まだまだ動けるジャッキーによる追跡劇も良かった。
しかしながら今作のジャッキー、途中で死にます。少年を護って殉職します。
そしてその少年の持つメダルの力で甦り、不死身かつ超人的なパワーまで手に入れちゃいます。
言わばジャッキー版スーパーヒーロー映画ですが、今作の場合はスーパーパワーを得てからつまらなくなっちゃうんだな。
ちょっと飛んだだけでとんでもない跳躍力を見せたり高速で走ったりと、この手の描写がめちゃんこチープなせいでジャッキーのキレのあるアクションをしっかり邪魔しちゃっていて、物語的には派手になっている筈ながら見応え激減で全然印象に残らなかったです。
ジャッキーの相棒であるワトソンも狙ったようなコメディキャラでつまらないって訳ではないんだけど、劇中だと一人でコメディパートの9割方を担っているのもあって結構空回りしている感じがしてしまいました。
ヒロイン含め、他にもアクション出来るキャラがいるのに尺もテンポも無駄がないのが仇となって、もうちょい良いバトル出来たんじゃないかなって思うくらいには薄味。
何か脚本に携わった人も変に多いみたいで、色々ゴタゴタしながらの制作になったのかな?
因みに敵の一人にはスコット・アドキンスの姿も。若いね。
スコアドも中盤ちょこっとジャッキーと張り合うも、終盤の超人化したジャッキーには手も足も出ず「こりゃ敵わん」と仲間と逃げ出す始末で残念でしたがまだ若い頃だししょうがないか。
でもスコアドさん、ちょいちょい微妙な作品に出る一方でジャッキーやドニー・イェン、ジャン=クロード・ヴァン・ダム、ジェイソン・ステイサム、トニー・ジャー、イコ・ウワイス、マイケル・ジェイ・ホワイト等々、錚々たる面子と戦っているの凄いよね。
試みは面白いかもしれないけどジャッキー映画にこう言うの要らんよな、と改めて思えたイマイチな作品でした。
余談ですが制作エピソードで面白かったのは中盤のスコアドvsジャッキーのシーン。
今作のアクション監督はサモ・ハンで、ジャッキーに蹴りを入れたスコアドに対して「もっと強く!」と指示されたようですが、ジャッキーのスタントチームの一人がスコアドさんに寄ってきて「マジで気を付けろよ…」と言われ板挟み状態になってしんどかったと、その後のスタントチームの面々による「分かってるよな?」な視線がストレスだったとスコットさん、当時を振り返っていました。