よーだ育休準備中

アイ・アム・レジェンドのよーだ育休準備中のレビュー・感想・評価

アイ・アム・レジェンド(2007年製作の映画)
3.0
癌の特効薬として遺伝子改変された麻疹ウィルスが突然変異。クリピンウィルスと命名されたそれは致死率90%におよび、更には免疫を獲得できた者の過半数を狂犬病の様な症状をきたす人肉を貪る化物へと変貌させてしまった。
荒廃したマンハッタンを舞台に、《地球最後の男》の孤独な戦いが描かれる。


◆世界観の作り込みとW.Smithの演技力!

広告の時からそうだったけど、荒廃した世界の作り込みがすごい。街全体が廃墟のようで、野生に還っている感じ。
夕暮れ時に強調される不吉なアラーム音に加えて、闇夜を跋扈する感染者・感染犬の造形も粗さがなくて良い。

舞台装置のクオリティも高かったけど、何よりも世界にたった一人取り残されてしまったDr.Nevilleの苦悩を見事に演じ切った主演に拍手!
ともすれば精神のバランスを欠いてしまいそうな極限状態の男を見事に演じ切っていた。KVに感染してしまった愛犬を手にかけるシーン、顔の表情だけで表現した部分は特に印象的!

昨今の新型ウィルスによる感染拡大が止まらない今の世の中にあって、何となく他人事の様には思えない節もあり。ニュースでじわりと感染に関する記事が読まれたりとか。都市封鎖に踏み切ったりとか。

今では夜のニュースで「本日の感染者数は〇〇人でした。」という報道が当たり前になってしまっている悲しさも押し寄せてきた。感染者数の増減云々ではなく、感染者数を報道することが常態化してしまっている事を再認識してしまった事が悲しい…。


◆《伝説の男》とエンディングについて

物語の終盤、自暴自棄になったNevilleの窮地を救ったAnna(Alice Braga)。《“生存者のコロニーがある”という神の啓示を得た》と、半ば預言者のような人物。

そんなAnnaに反目し、神を否定するNevill。(作中でも冒頭から、人々の神に対する愛に疑問を投げかける看板が出ていた。)
そんなNevillがラストではAnna同様に神の啓示を得、人類の希望=血清を繋げる役割を担う。
彼が受け取った啓示は《Butterfly》。亡くなった娘の最期の言葉であり、ひび割れたガラスであり、Annaの首元のタトゥーであった。

《蝶》はキリスト教において《復活》の象徴でもあるらしく、《Butterfly》の啓示はまさに《血清による人類の復活》を暗示させ、預言者の様相を呈したNevillはREGENDのタイトルに相応しい。

別バージョンのエンディングもあるそうで、そちらも気になる所。(ダークシーカーが《感染者》ではなく、《人類とは異なる生物》として彼らの知性と社会性を受容する様な終わり方らしい。聞く限りでは劇場版の方が良いかなぁ…?)


*雑記*
WORLD WAR Zもそうだったけど、ゾンビ映画である事を意図的に隠した宣伝がされているのはズルい!

公開当初、荒廃した大都会に佇むWill Smithとシェパード。周りを飛び跳ねるインパラとそれを狩るライオンのイメージに惹かれて劇場に足を運んだのに、画面で暴れ回るクリーチャーに度肝を抜かれたというか、絶句した苦い思い出があります。

奇しくも、劇場鑑賞したホラー作品の第一号でした。