Boss2054

セロ彈きのゴーシュのBoss2054のレビュー・感想・評価

セロ彈きのゴーシュ(1982年製作の映画)
4.8
1982年。アニメ。

原作、宮沢賢治。
脚本、監督、高畑勲。
キャスト、肝付兼太、白石冬美、高橋和枝他。

マエストロ、太陽とボレロ、そして、リバーサルオーケストラと最近、オーケストラをテーマにした作品を偶然だが、観続けている。
で、この、セロ弾きのゴーシュも実はオーケストラものであるコトに気が付いた。
厳しいマエストロと未熟なチェロ奏者、ゴーシュ。
主人公ゴーシュの成長物語である。
トするならば、原作者、宮沢賢治は、日本に於ける、オーケストラものの先駆者か?
ト驚いた次第!
凄いぞ、宮沢賢治!

主人公のゴーシュは、どうやら心が解放出来ず、それが、チェロの演奏に影響を与えている様子。
さて、如何に心を解放して、思い通りの表現を手に入れるか?
動物たちとの音楽的なやり取りとそのテーマに夢中になるコトで、
ゴーシュの心は解放され、表現力もグングンと上昇して行く。
ト云う物語。
如何にもアニメ向き。
想像力全開の物語。
オープニングなんか、ディズニーのファンタジアを彷彿とさせる。
すでに高畑勲監督の作家性が爆発。
随所に高畑節が見られる。
音楽と共に、風に吹き飛ばされてしまう演奏者たちの優雅な表現など、
その一例だろう。

果たして、動物たちは何のメタファーなのだろうか?
自然?
動物たちはゴーシュの心を解放させ、表現力を向上させると共に自分たちも病気を治してもらうト云うウィンウィンの関係にある。
人間ト自然の本来あるべき姿のメタファーなのだろうか?

さすが宮沢賢治。
色々ト考えさせてくれる。
それが、こう云う作品の良いところなんだろうな。

ところで、宮沢賢治のネーミングセンスが大好きだ!
ゴーシュとか、カンパネルラとかジョバンニとか、
異国の香りがする。
無国籍的なところも良い。
想像力を刺激する。
ココは一体どこなんだろう?
いつの時代のお話なんだろう?
風の又三郎も好きだけどね。
三郎ではなく又三郎。
古畑任三郎みたいだ。
コレはジョーク。

手作りアニメの最後の方の作品らしい。
キャラクターデザインも、背景美術も一人の方がやったらしい。
それこそ、作家性爆発!

高畑勲監督にもっともっと、宮沢賢治もの作って欲しかったですね♪
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