やっぱニーガン

アラビアのロレンスのやっぱニーガンのレビュー・感想・評価

アラビアのロレンス(1962年製作の映画)
4.6
一人のあるささやかな営みが世界を動かすことがある…

🦋映像の世紀バタフライエフェクトからの招待状✉️「砂漠の英雄と100年の悲劇」

1962年🇬🇧「アラビアのロレンス」は自伝を基に、アラブ民族を率いてオスマン帝国(トルコ軍)と死闘を繰り広げた英国将校T.E.ロレンスの苦悩と挫折を壮大なスケールで描いたスペクタル歴史劇。

傑作中の傑作!!どこまでも続く広大な砂漠での戦闘シーンは今観ても圧巻!207分の上映時間は長く感じるかもしれないが、丁寧に作られたであろうシーンの数々…例えば、砂漠の蜃気楼の中からゆっくり登場するシーンなんか贅沢な間とあの尺の絶妙さよ!ストーリー展開も逸品やし主要な場面で流れる音楽がこれまた素晴らすぃじゃないか〜🎵

そんな大傑作にも爆笑ポイントがひとつだけありました😙ソンナンイラン
アカバまでの砂漠を夜間行軍中、ロレンスはアラブ人の案内人が1人いなくなっている事に気付きます。「彼の死は運命なんだ」と他のアラブ人が止める中、ロレンスは無謀にも一人で引き返すんですね〜
そして無事救出し連れ戻す事に成功します!
その時のロレンスのセリフ「運命なんてないんだ!」
そう言いながらこれ以上ないドヤ顔で水を飲むんです🪺まさに!「な?言うたやろ?」的なドヤ顔で(笑)
兄さんその顔はヤバい🤣て!

結果的にこの勇敢な行為は称賛されアラブ人達から絶大な信用を得ることになるんですけどね^ ^

アラブ人指導者ファイサルの大きな信頼のもとゲリラ戦を展開するロレンスだったが
、イギリス政府の裏切りを知ったロレンスはひとり苦悩する。そして本作はダマスカス陥落でエンディングを迎えます。

しか〜し☝🏻ロレンスが血塗られた英雄と呼ばれるのはここから…100年の悲劇がこんなに重たいものとは…

独立をエサにアラブ人を煽ったイギリスは同時にユダヤ人にもパレスチナに独立国を作ることを約束していた。
アラブを裏切った罪の意識に苦しみ続けたロレンス。戦後パレスチナ一帯を統治し石油採掘権を手に入れたイギリス!
ユダヤ人国家イスラエル建国によって追い出されるアラブ人、今も続くパレスチナ問題。これに関しては迫害を受けてきたユダヤ人が今度は土地を失ったアラブ人を迫害してるように見えて…複雑な気持ちになる。怨恨からの怨恨!悲劇からの悲劇!

現在、イスラエルとアラブ人居住区との境界に建てられた巨大な壁の高さは8メートル、長さは700キロ!100年対立を繰り返してきたユダヤ人とアラブ人を分つ分離壁がある。実際にはこの壁の高さ以上に隔たりがある厄介なパレスチナ問題…憎しみの連鎖に歯止めはかかるのか…

100年前、砂漠に悲劇の種を蒔いたロレンス!彼もまた英雄という名の犠牲者でした…



年がたつにつれ 私は自分が演じた役割をますます憎み 軽蔑するようになった。
もしも私がアラブ人に対するイギリスの取り決めをなくす事ができたならば、いろいろな民族が手を取り合う新しい共和国を作れたのかもしれない
アラブ人とユダヤ人は強固の圧政に苦しんだ従兄弟のような存在だ
アラブ人がユダヤ人を助け、ユダヤ人がアラブ人を助ける未来を私は願っている


    トーマス・エドワード・ロレンス


くぅぅ〜