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持参金のない娘のkyokoのレビュー・感想・評価

持参金のない娘(1984年製作の映画)
3.8
1870年代ヴォルガ川のほとり。

父親の死後、没落してしまったオグダロワ家では娘に持たせる持参金がない。
姉二人は持参金ナシでもどうにかいい家に嫁がせたと思ったらあまりいい結婚生活ではないらしく、この生活から這い上がるには三女ラリーサが最後の頼みの綱!とばかりに、母親は婿候補の物色に必死。
歌も楽器もダンスも上手な美しいラリーサのまわりには常に男たちがいるけれど、どうもいまひとつ決め手に欠ける……

郵便局書記カランディシェフは、ラリーサへの気持ちは誰よりも熱烈だけど金も魅力もないとっても残念なタイプ。
クヌロフは、あわよくばラリーサをものにしようとしているすけべ金持ちじじい(妻帯者)。
仲のいい幼なじみ(名前忘れた)は好意は持っているようだけど、持参金ナシがひっかかっているのか本音がよく見えない。
銀行頭取になりすましの会計係は横領容疑で一発退場。
そして満を持して登場、ニキータミハルコフ演じるパラトフは「悪い男ナンバーワン」。一見粋人に見える彼に世間知らずのラリーサはすっかりメロメロになってしまった。実は嫌いなヤツを徹底的に貶めたりする、かなり腹黒な人なんだけども。

それぞれのキャラがはっきりくっきりしているのでドラマが盛り上がる。
特にカランディシェフの、ひたむきに彼女を思い続けていただけのはずが、余計なプライドによって失敗し続けさらに常軌を逸していく様が若干ホラー。
クヌロフや幼なじみの企みも腹立たしいけど、やっぱりねえ、パラトフの人でなし感が半端ない。そりゃラリーサも「信じられるのは金だけじゃ!」ってなるわ。
思えば母親もなかなかにろくでなしだった。彼女を本当に愛してくれた人はいたのかしら。

ラストはもう少し過激な展開を期待してしまったとは言え、まちがいなく悲劇だった。

ミュージカルじゃないけど、一曲一曲感情込めて歌いあげますw
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