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仮面/ペルソナのmiiのレビュー・感想・評価

仮面/ペルソナ(1967年製作の映画)
4.0
女優のエリザベートは 舞台上で突然声がでなくなる。
序盤に女性医師が 核心を突いた言葉を発している。
「貴女は本当の自分でありたいと思っているが
自意識に縛られている。
さらけ出したい欲望を持ちながら 他人に写る自分とのギャップに悩んでいる」

冒頭に断片的に映されたものは 彼女の欲望と抑圧。

殻に閉じこもるエリザベートと
心の内をさらけ出す事ができるアルマ。
(アルマはエリザベートの代弁者。)
わたしの内面
本当の自分とは···?

本能のままに生きたくとも そうも出来ないし
自制と開放のこのバランスの難しさが 生きていく上でもどかしさを感じるもの。

誰しも少なからず 他人と接する際には仮面を被っている。
その仮面の部分が占めてくると 窮屈になってくる。

エリザベートは 素の自分を偽りながら
さらに他人を演じるという女優だった。
欲望と抑圧がMAXになった時 彼女は投げ出してしまった。
偽りの自分を捨てて 口をつぐめば楽だからね。

作中に「言葉は吐き気と苦痛をもたらすだけだわ」とあったけど
それは違うと思う。
自分の考えを言葉で発する事で
自己を肯定する事にもなるし
己の膿も吐き出す事もできると思う。

人間って 開放する事が必要なのだと思う。
言葉でも 言葉以外の方法でも。

このドッペルゲンガーはとても興味深い。
調べたら リンカーンやエリザベス一世もドッペルゲンガーと出会ったらしい。
メッセンジャー的な存在で
ネガティブな態度を取ると 死の悲しい結末になるとか···
とすると ラストの「無」という言葉の意味は 察しがついちゃうね。
mii

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