Hagieen

血斗のジャンゴのHagieenのレビュー・感想・評価

血斗のジャンゴ(1967年製作の映画)
3.8
セルジオ・ソリーマ監督、ジャン・マリア・ヴォロンテ、トーマス・ミリアン主演。

肺病療養のために休職してテキサスにやってきた大学教授ブレット。
そこにお尋ね者のソロモン・ベネットを捕えた賞金稼ぎが休息に来る。
憔悴したソロモンを見かねたブレットは水を与えるも、その隙を見てソロモンはブレッドを人質に逃走。
やがて行動を共にするうちにブレッドはソロモンたちの強盗団に溶け込んでいく。

インテリで善良なブレッドが、その頭脳で次第に頭角を現し暴力の可能性に目覚める。
一方強盗団の頭領たるソロモンはカリスマ性で盗賊を束ねていたが、自分の中の正義に目覚めていく。
この善良な教授が暗黒面におち、逆に悪党が己の正義に目覚めていくという対比のプロットがとてもいい。

ジャン・マリア・ヴォロンテの神経質そうな顔が魅力的で、気弱そうだったのが何かにとりつかれていく感じが見事。
注意深く見ていくと、最初は白っぽい服だったのが暗黒面に落ちたら黒い衣装に変わっている。
この辺りも意図的に演出しているのだと思う。

モリコーネの音楽もいつものような判りやすいメロディーというより、ハモンド基調に始まり少し実験的な感じがある。
人間の複雑な二面性を描いているようで、どこかもの悲しく印象にのこる。

本作のタイトルにある「血斗のジャンゴ」のジャンゴが一切本編には出てこない。
これは「続・荒野の用心棒」の主人公ジャンゴから勝手に借用したモノらしい。
昔の西部劇の邦題はこんなのが多くて紛らわしい。「続・荒野の用心棒」も「荒野の用心棒」の続編じゃないし・・・

個人的ジャンゴ祭りという事で、タイトルにジャンゴが付くものを観ていっているが全部無関係というw

でもこの作品、プロットがいいので是非リメイクして欲しい。
もしかしたら「インファナル・アフェア」のインスピレーションの源泉はこういう作品かも。
現代劇に置き換えても充分通用するし、それぞれのキャラの心情の変遷ももっと丁寧に描けるかもしれない。
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