回想シーンでご飯3杯いける

ニュー・シネマ・パラダイスの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

3.8
イタリアの名画を約15年ぶりに鑑賞。

映画館と映画好きを題材にした作品であり、この15年間で沢山の映画を観て来た今の自分なら、前回鑑賞時よりより多くを感じる事ができるだろうと思った。

本作は1989年の作品だけど、この時点で60歳ぐらいであろうサルヴァトーレの回想シーン(子供時代)を中心に描かれるので、映像は1940~50年代の雰囲気。実際、第二次世界大戦のエピソードも挿入されている。映写技師アルフレードが働く映画館は、街と世界をつなぐ窓のような存在で、毎晩住人が集まり、街頭テレビを観るような感覚で映画を楽しむ。この光景は映画という娯楽のひとつの原点を示しており、何とも胸が熱くなる。

物語はサルヴァトーレの少年期→青年期→中年期の3部構成になっているのだが、今回の鑑賞では、僕の年齢に近い中年期の描写が強く心に残った。アルフレードとの思い出にふける彼は果たして幸せだったのだろうか。前回鑑賞時は少年期、青年期のノスタルジックで甘酸っぱい描写しか目に入っていなかった。しかし、実際の本作は観る人の年齢によって微妙に違う表情を見せる作品なのだろう。自分がアルフレードの年頃になった時にもう一度鑑賞したい。