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ありふれた事件のsayaのレビュー・感想・評価

ありふれた事件(1992年製作の映画)
3.5
連続殺人犯の密着ドキュメンタリーを撮影しているうちに、取材班が次第に感化されて犯罪に加担するようになってしまう話です。
POV形式のモキュメンタリーで実録犯罪のような生々しい殺害描写が楽しめる作品でした。
開始わずか20秒で人が殺されるので話のテンポも良いですし、人の死ぬ映画が三度の飯より好きな人には間違いなくお勧めな一本です。
アメリカのシリアルキラーのように快楽殺人が目的ではなくて、あくまでも効率よく稼ぐためのビジネスとして人をあやめていく主人公がとても魅力的でした。
手段と目的を混同して性癖や拘りばかり強い殺人鬼が多い中で、老人は金を家に置いていて殺すのも簡単という合理的な思考がドライで現実的です。
殺し方も無駄がなくスタイリッシュで相手が子供だろうと一切容赦はせず、良心の呵責や躊躇いもなく仕事をこなしてくれるので見ていても全く疲れません。
教養があって芸術を好み、機知に富んだ会話とユーモア、恋人や家族も大事にしていて、盗んだばかりのお金で取材班に奢ってくれる気前の良さ、もう惚れてしまいますね。
自分が命を狙われているのに趣味のボクシングで張り切って怪我してしまうところなんて愛嬌もあって本当に憎めないです。
主人公の恋人がフルート奏者だったせいで悲惨な目に遭ってしまうのだけは本当にドンマイでした。
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