nt708

サタデー・ナイト・フィーバーのnt708のネタバレレビュー・内容・結末

3.0

このレビューはネタバレを含みます

川のこちら側と向こう側。年齢、社会的地位、、格差を抱えた恋愛模様。有り余るパワーのやりどころに困ると云うのは誰にでもあるものだが、バブルで浮かれていたこの時代はなおさらそうだったのだろう。

「生き残るためにはやりたいことをやる」

この台詞の中には主人公の何がやりたいかわからないということに対する憤懣とやりたいことがあるはずなのに現状の心地よさに浸ってあと一歩が踏み出せないことへの葛藤が凝縮されているように思う。アメリカでのイタリア系に対する差別が落ち着き、ラテン系に対する差別が蔓延り始めた時代、自分たちが差別される側から差別する側へと変わったことが象徴するように、今と同じように生きていては同じことを立場を変えて唯々繰り返すだけということに主人公はやりきれなくなったのだろう。そういった過去との決別を迎えて、本作が終わったのは良かった。

ただ、公開当時に社会現象となったディスコのシーンが長すぎるように感じたのは私だけだろうか。もちろん映画のムードを高めるために必要な時間ではあるのだろうが、それ以外にどのような意味があるのか私には理解できなかった。もう少し家族や仲間との関わりを丁寧に描いて欲しかったのが正直なところだ。
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