やんげき

イエスマン “YES”は人生のパスワードのやんげきのレビュー・感想・評価

4.0
そんな上手くいくかよ。な展開だが、私はこれぞ映画の成せる技として楽しく観させてもらいました。

何しろ演出が上手い。
他人の誘いを断り続けるネガティブで社交性のない男が、ある日の講義を境に「YES」しか言わなくなると未来が明るく開けるというお話。

ミクロで見れば、眉を寄せるような頼みごとや誘いをYESで受ける。すると、人生全体ではどんどん事態が好転していくのが小気味良い。その展開自体は御都合主義そのものだけれど、実はその要所要所で、YESで受けてしまった気が進まないような事でも楽しむ姿勢が少しづつ顕著になっていく演出が実にニクい。

「YES」と言うだけで未来が開けるには、懐疑的だが、「どんな事でも楽しむ姿勢を身につける」ならそれは楽しいでしょうね。と思う。

だが、それを口にするような野暮な事をせず姿勢と行為で表現する辺りが魅せる演出なのだ。なにしろジム・キャリーが本当に上手い。時にサムくなりそうな演出もことごとく、突き抜けた笑いにまで昇華させるから安心して観る事ができる。売れっ子コメディアンは違うぜ。

そして、相手役に”500日のサマー”でやや不思議ちゃんヒロイン役がハマり役だったズーイー・デシャネルが今回はもっと不思議ちゃんヒロインとして登場し、もちろん見事にハマっている。

ものすごく無駄なブラッドリー・クーパーの使い方もコメディらしくて個人的には大好き。

そして皮肉の効いたラストが特にイカしている。
初めからこの作品自体ちゃんと「YESだけ言ったら未来が開ける?そんな事あるかよ」と思って作られたんだなと思わせてくれる。今まで2時間かけてやって来た作品そのものすら笑いに変える痛快なコメディ作品。
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