いしはらしんすけ

アリスの恋のいしはらしんすけのレビュー・感想・評価

アリスの恋(1974年製作の映画)
3.9
男の世界を魅力的に描くことで定評のあるスコセッシが、本作で第47回アカデミー賞主演女優賞を受賞したエレン・バースティンの持ち込み企画に挑んだ、1974年公開作。

オープニングで暗示される「オズの魔法使」との照応はラストのちょっとしたツイスト展開も含め準拠枠として機能。

そして「オズの魔法使」がジュディ・ガーランド映画であるの同様に、自身の肝煎りだけあってエレン・バースティン映画であるのは自明でしょう。

さらにビリー・グリーン・ブッシュ演じる最初の夫やらお馴染みハーヴェイ・カイテル演じるチャラ&バイオレント男、ベンとの関係を経て、隣家の夫人やダイナーの同僚たちとのシスターフッドが鮮やかに顕現していて、このあたりは先見性を感じたり。

まあ今だと最後に現れるバツイチ牧場主、デイヴィッドとも別れる結末になりそうな気もするけど、当初はそれこそ主人公が牧場に嫁ぐラストが上の方から捩じ込まれそうになったらしいので、それでも当時としては先進的ではあるのかな、と。

MOTT THE HOOPLE、T.REX、エルトンといったクラシックヒット...というか製作時にはコンテンポラリーなロックナンバー使いにはらしさが滲む、エヴァーグリーンな傑作です。