竜平

ナイト・オン・ザ・プラネットの竜平のレビュー・感想・評価

4.2
5つの都市にて同時刻に走るタクシー内それぞれの一幕をオムニバス形式で描く。ジム・ジャームッシュによるまったり系のヒューマンドラマ。

ロサンゼルス、ニューヨーク、パリ、ローマ、ヘルシンキと、様々な場所で様々な性別・人種・年齢のタクシー運転手と乗客によるちょっとした騒動だったり本当になんでもない会話だったりを映し出していく。出演にはウィノナ・ライダー、ロベルト・ベニーニなどなど。エピソード毎に話題はもちろん、人物の性格やら街並みまでもガラッと変わるもんで、淡々と見せていくのに驚くほど飽きない、そんなふうに感じるのは俺だけじゃないはず。巡り合わせによって交わるそれぞれの人生観というのもおもしろく、会話によってそれらがしれっと見えてくるあたりも粋だなーなんて。出会いの中で成長、とまでは言わないけども変化というか、それもしたのかしてないのか微妙な感じなのも微笑ましいし、そんでとくに解決もしないってゆー。でもなんかそれがいい、それでいいとさえ思えてしまうから見事。見ているうちに、次はどんなエピソードが来るんだろうとしっかりワクワクしてしまった自分がいた感じ。

盲目の女性、とある出来事に見舞われてしまう神父など、淡々と描かれる中で何気にキャストたちの熱演が光る、これも見どころ。最終的に「だからどーした」で済ますのは簡単なんだけど、例えば今作ではつまり何を伝えたかったのか、とか、登場人物たちはその後どうなったのか、とか、勝手に想像することでまた楽しくなるはず。余白を楽しむ一本。結構好き。
竜平

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