MariaElena

水曜日のエミリアのMariaElenaのレビュー・感想・評価

水曜日のエミリア(2009年製作の映画)
4.0
ヒーローものじゃなくても、明らかに善い人と悪い人に登場人物を分ける作品が多い中、“誰が一番悪いとかじゃない”けど、なんか生きづらい。そんな世界観をうまく表現していると思う。
でも、ナタリー・ポートマンが演じた主人公エミリアの言動がなんだか誤解を招きそうで、この映画自体の評価を低くしている気がする。

エミリアだけでなく、キャラクターのパーソナリティが凄くよく考えて作られている作品。
エミリアには何かが足りないなと思って観ていたんやけど、多分それは母性で、それに気づいた頃にはエミリアが両親に不満を抱いていることが分かる。
自分はしっかり親から愛されている、という実感なく大人になったエミリアが、妻子持ちの男(いわゆる人のモノ)に惚れてしまうのも納得がいく。そして赤ちゃんを亡くしてしまうと、色んな理由をつけて【自分への罰だ】と思ってしまうのも分かる。

でも、意外とこういうバックグラウンドって他人からは無視されがちで、元から母性のない人(冷たい人)とか、元から人の物を欲しがる嫌な女、という風にジャッジされてしまう。
でもそれは、親やパートナー以外やから許せるだけで、親にもパートナーにもつらい時に庇ってもらえないエミリアは私には可哀想に映った。

我が子を赤ちゃんの姿のまま亡くしてしまった女性に対して、少しぐらい配慮してあげてもいいんじゃないか?と思うシーンがめっちゃあったんやけど、身近な人を亡くしたとき、人って意外と冷たいもんよなって思い出して感じた。
「そろそろ立ち直ったら?」なんて周りは平気で言ってくるんやから、まだ数日間しか生きてない赤子を亡くしても、そのつらさは周りにはわからんのやろう。

だからね、せめて旦那くらいはわかってあげろよと思うけどね😇💢お前の血も流れとったんやぞと思った😇
売り払ってもいいベビーベッドを売れずにいたり、赤ちゃんの写真を悲しそうに見ていたりするエミリアの姿でわかるやんか?やのに何でわざわざ再婚した前妻が妊娠した話をこのタイミングで話すん?ってシーンとかね。エミリアに自殺してほしいん?って思った😇
からの、「娘を亡くしたからって何でも許されると思うな」とキレるのもキモすぎて。エミリアの心のケアを一度もできたことがないくせにそれを言うか?
善にも悪にもキャラを振らずに、自分の意見も言わずに、最後だけ「俺はマトモ」みたいな顔するのはズルすぎるやん。

周りが誰もエミリアの苦しみを聞いてあげないから、結局旦那の元嫁に慰められることになる展開😂旦那とオカンなにしてんねんと思ったよね。
このシーンのナタリー・ポートマンの泣く演技が貰い泣きしてまうぐらいリアルで、ナタリーって「演技派ですドヤ❗」みたいな演じ方せんから忘れてたけど、凄い才能の持ち主よね。

この映画のほんまの見どころは、エミリアとジャックの連れ子ウィリアムの関係性の変化やと思うねんけど、ついジャックの至らなさを語ってしまった😂あまりにエミリアが悪者になってるから黙ってられんかった😂
でも、ジャックの放った、「君は愛する者に厳しい」って言葉は私自身にも当てはまる気がするから覚えとこうって思う。

ラストは、エミリアの「I love you. 」に「I know. Me too.」と返したウィリアムに泣いた🥺「I love you too.」にしないところが最高よね。セリフ考えた人最高。

色んなことを考えさせてくれる映画。
メンタルが普通の時に観ると重いんやけど、自分も少ししんどい時に観ると、こういう名前のつけられないしんどさを抱えている人は私だけじゃないやんって、ちょっと楽に感じられる気がした。
MariaElena

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